日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PD

(5階ラウンジ)

2014年11月8日(土) 10:00 〜 12:00 5階ラウンジ (5階)

[PD022] 戴帽式における看護教育的意義

藤田和加子1, 石井あゆみ1, 徳珍温子1 (大阪信愛女学院短期大学)

キーワード:戴帽式

【目的】
A短期大学は、教育基本法(平成18年法律第120号)及び学校教育法(昭和22年法律第26号)の下にカトリック精神に基づき,キリストに信頼し、愛の実践を生きることを建学の精神とし、建学の精神に従って豊かな心を養うと共に物事を正しく判断し,行動して,すすんで社会に貢献できる有為な女性を育成することを目的としている。最終学年の臨地実習前に,看護師になるための決意や自覚を持つという事を目的に,戴帽式を行っている。看護の現場ではほとんどの病院がナースキャップを廃止しており,戴帽式を廃止している看護師養成所が増加している中、看護学生にとっての戴帽式の意味を調査し、看護教育的意義を考察した。

【方法】
〈対象者〉A短期大学3回生戴帽式直後の同意が得られた8人の学生
〈データ収集期間〉平成25年5月21日~27日
〈調査方法〉無記名式の質問調査紙
〈分析方法〉質問内容を「戴帽式にはどんな意味があると思うか」とし,自由記述してもらった内容を質的帰納方法により分析した。1)場面の意味を損なわないように整理しコードを作成した。2)コードを解釈し,類似性のあるものでまとまりを作りサブカテゴリを命名した。3)コードからサブカテゴリ,カテゴリと抽象化を進めた。4)データ収集,分析過程において,信頼性を高めるために指導者の助言を得つつ評議を繰り返した。
〈倫理的配慮〉研究参加は対象者の自由意思に基づくものであり,随時同意撤回が可能であること,その場合でも何ら不利益を被ることはないこと,個人情報は個人が特定されないように守秘し,研究及び学会発表以外の目的では使用しないこと,研究終了後は全ての情報を破棄することを口頭と書面にて説明した。

【結果】看護学生が思う戴帽式の意味について質問調査紙でとらえた総コード68を抽出した。質問

紙の分析により【責任感を持ち決意を新たにする】【支えてくださった方に感謝】【看護師のシンボル】【ただ単にひとつの行事】の4つのカテゴリが抽出された。

【考察】
看護学生は戴帽式を,【責任感を持ち決意をあらたにする】といった学習への動機づけや専門職としての自覚を促していることがわかった。本学では戴帽式でのローソクの光を「この世を照らす真の光」であり,いのちへの奉仕に向かうことを意味している。臨地実習前に戴帽式を行っていることは,看護師になるための心構えや臨地実習に対する意欲を高めていることがわかった。
また戴帽式の意味を【支えてくださった方に感謝】していることから,戴帽式がひとつの節目となり,看護師になるための夢にサポートしてくれている周囲にも感謝の気持ちが持て,自己を振り返る機会になったと考えられる。
しかし,戴帽式が不安や不快など【ただ単にひとつの行事】ととらえている看護学生もおり、戴帽式の目的を理解できていないことが明らかになった。戴帽式についての説明が少ないと感じていることから,戴帽式の意義や式典で行うひとつひとつの事柄の意味づけを理解さるべきである。
戴帽式を廃止している看護師養成所は増加しているが,看護師になるための責任感や決意を促す機会つくりは必要であると考える。