日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PD

(5階ラウンジ)

2014年11月8日(土) 10:00 〜 12:00 5階ラウンジ (5階)

[PD029] 教育相談定着化に向けた担当者の影響方略と校長のリーダーシップに関する研究 Ⅰ

鎌田雅史1, 西山久子2, 迫田裕子3 (1.就実短期大学, 2.福岡教育大学, 3.東亜大学)

キーワード:教育相談の定着化, リーダーシップ, 影響戦術

【問 題】
今日の学校では,児童・生徒の抱えるニーズに対し教育相談の寄与が期待されている。西山(2010)は,教育相談の抱える問題点として,教育相談担当者(担当者)・管理職・学校の状況に依存し,内容が年度ごとに変容する点を指摘し,学校組織に教育相談を定着化させる重要性を指摘している。
この点に関し,教育相談の方向性は,担当者によって方向づけられる傾向があり,担当者には校長や他の教員と協働しながら,円滑な実施や,定着化を促していくことが求められる。しかし,「担当者の他者を巻き込む行動(影響方略)」や,その「有効性(効果)」に関して実証的に検討した研究はほとんど見られない。
そこで基礎研究として,影響方略測定項目の開発を行う。また,探索的に影響方略と教育相談定着化の関連を模索する。

【方 法】
影響方略測定項目の開発 
Yukl, Seifert & Chavez (2008)による拡張版IBQ(Influence Behavior Questionnaire)によって同定されている11の影響方略の構造を参考としながら,元校長経験者,元担当者を含む4名の関連領域の研究者で議論を行い,最終的に27項目が選定された。
質問紙調査の実施
 影響方略測定項目の妥当性を検討し,将来的な研究可能性を模索する目的で以下の調査を行った。
調査対象者 現職教員を対象に調査用紙を配布し,56名(男性20名,女性36名)の回答を得た。
調査項目 影響方略と教育相談定着化の関連を模索する目的で,①性別,校種,勤務校の規模,教職歴,教育相談担当歴,過去に経験した分掌等のフェイスシート項目,②勤務校の教育相談活動の定着化,③一般的な担当者の役割認識,④学校の協働的風土,⑤回答者の教育相談に関わる自己評価,⑥校長による協働促進のリーダーシップ行動,⑦回答者の影響方略に対する校長の対応,⑧回答者が教育相談に関わる領域で使用する影響方略に関して5件法により回答を求めた。 


【分析・結果】
 因子分析 影響方略測定項目について,主因子法による因子分析を行い項目の選定をおこなった。スクリープロットの変化を基準に6因子での解釈が妥当であると判断した(Table1)。さらに,高次因子分析の結果,Hard(α=.90), Soft(α=.73), Rational(α=.89)という3つのメタカテゴリーが抽出された。以上の因子分析結果は,先行知見と符合し妥当に解釈可能な構造であった。
 記述統計量 6つの影響方略の使用に関する記述統計量について,Table 1に示す。
パス解析 探索的にパス解析を行った。最終的に選択されたモデルはFigure1のとおりである。今後の研究の基礎資料としたい。
本研究は,JSPS科研費24530827の助成を受けたものである。