日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PE

(501)

2014年11月8日(土) 13:30 〜 15:30 501 (5階)

[PE072] 被援助志向性による育児中の母親への支援の検討

幼児をもつ母親を対象にして

状家莉保1, 鳥居深雪2 (1.神戸大学大学院, 2.神戸大学)

キーワード:育児ストレス, 子育て, 被援助志向性

【問題と目的】
現在,子育てについては,国や自治体など様々な方面から支援がなされている(真継,2012)。しかし,支援があっても利用しない人の存在が指摘されており(小嶋,2007),個人の被援助志向性によって,利用しやすいサポートは異なると考える。そこで本研究では,育児ストレスと被援助志向性のタイプによって求めている具体的な支援内容について探索的に調査し,検討することを目的とする。
【方法】
<対象・時期>公立幼稚園に通う子どもをもつ保護者(女性421名,無記名9名)(平均年齢36.9歳,SD = 4.29)を対象とし,2014年1~2月に質問紙調査を実施した。
<質問紙内容>①被援助志向性(11項目):「被援助志向性尺度」(田村,2001)②育児ストレス(19項目):「PS-SF実用版」(荒木,2005)を参考に幼稚園児の保護者用に表記を改めたもの。③育児サポートに関する項目(46項目):託児・子育て手伝い・家事手伝い・相談先・情報入手先に関する項目。それぞれ4件法で回答を求めた。
【結果】
被援助志向性尺度,育児ストレス尺度のそれぞれについて,得点の平均値により高群と低群に分け,育児サポート項目とのt検定を行った結果,主だったものをTable 1に示す。
この結果より,被援助志向性の両群とも,育児ストレス低群では,『パートナー』,『ママ友達』,『ご近所の方』からのサポートを利用していることが示された。被援助志向性高群では『自分の親族』にサポートを求めることができており,被援助志向性低群との違いがみられた。
被援助志向性低群で,育児ストレスが高い人は『民間機関』,『母親サークル』にサポートを求めていた。一方,被援助志向性高群では,『子育て講演会』を利用している人が多かった。『公的機関』や『幼稚園』からのサポートを希望していることも明らかになった。
【考察】
被援助志向性の高低にかかわらず,育児ストレスが低い人は,インフォーマルサポートを利用している人が多かった。一方,育児ストレスが高い人はフォーマルサポートを求める傾向にあった。その中でも,被援助志向性が低いと,ビジネスとして成立するサポートをより求めていた。被援助志向性が高くてもフォーマルサポートの実際の利用へは,つながりにくいようであることが示唆された。