[PG026] 高校生の自己愛が居場所の選択と居心地に与える影響
キーワード:高校生, 自己愛, 居場所
目 的
本研究では,高校生の自己愛傾向と学校内外における居場所の選択数との関係,ならびに高校生自身が感覚的意味としてとらえている居場所と居心地の高校入学後における時期による変化を検討することを本研究の目的とした。
方 法
研究協力者 A県下の公立高校生1年生485人(男子255人,女子230人),2年生260人(男子121人,女子139人),3年生243人(男子112人,女子131人)。なお,このうち1年生238人は2回目の調査にも引き続き参加した。
調査時期 200X年12月から200X+1年2月,5月と7月にかけて調査は実施された。
質問紙 自己愛傾向の測定には,小塩(1999)の自己愛人格目録短縮版(以下,NPI-S)の各因子のうち高負荷を示した18項目を用いた。また,居場所と居心地の測定には,檜皮(2003)の居場所と居心地目録20項目を用いた。
結果と考察
NPI-S(18項目)の因子分析結果 小塩(1999)と同様に,第1因子「注目・賞賛欲求」6項目,第2因子「優越感・有能性」6項目,第3因子「自己主張性」6項目とする3因子が検出されとされた。
居場所の選択と自己愛傾向 居場所の有無について,居場所と居心地目録の各質問項目のうち「4」「3」「2」と回答したものを1(居場所あり),「1」と回答したものを0(居場所なし)として,居場所選択数の得点を算出した。次に,NPI-S(18項目)の合計得点について,低得点から25%タイルごとにL群(18~29点),ML群(30~37点),MH群(38~44点),H群(45~72点)の4水準に群分けした。自己愛水準・性・学年別の居場所の選択数はTable1の通りである。
居場所選択数を従属変数,自己愛水準・性・学年を独立変数とした3要因の分散分析を行ったところ,1次,2次とも交互作用はなく,水準間の主効果のみが有意であった。下位検定の結果,L群<ML群<MH・H群の順に居場所の選択数が多く,自己愛傾向が高い者は学校内外に居場所を多く持っていると認知していることが明らかとなった。
自己愛水準別の居場所と居心地得点の時期による変化 自己愛水準の違いによる居場所と居心地目録の各因子の得点が,時期によってどのように変化するのかを検討するため,自己愛水準別に各因子の5月と7月の得点を算出した(Table2)。居場所と居心地目録の各因子得点を従属変数,自己愛水準・性・時期を独立変数とする3要因混合計画の分散分析を行ったところ,1次,2次とも交互作用はなく,水準間・性・時期の主効果がそれぞれ有意であった。下位検定の結果,水準間では「友だちと会話する場」得点は自己愛のL群<ML・MH群<H群の順に高く,時期では5月よりも7月の方が高かった。一方,「長時間生活する場」得点は時期では5月よりも7月の方が低く,性では男子より女子の方が得点は高かった。
以上の結果から,自己愛傾向が高いほど居心地の良さを感じており,その居心地の良さは5月よりも7月の方がより強く感じられていることが明らかとなった。その一方,心が安らぎ長時間過ごす場は5月よりも7月の方が減少しており,男子よりも女子の方がよりそのように感じていることが示された。高校入学後の5月から7月にかけて,心が安らぎ長時間過ごす場は減少しているものの,反面,その場はより安らぎを感じることができるという意味あいが強くなっているのではないかと思われる。そして,こうした特徴は自己愛傾向が強い者ほど顕著になると考えられる。
本研究では,高校生の自己愛傾向と学校内外における居場所の選択数との関係,ならびに高校生自身が感覚的意味としてとらえている居場所と居心地の高校入学後における時期による変化を検討することを本研究の目的とした。
方 法
研究協力者 A県下の公立高校生1年生485人(男子255人,女子230人),2年生260人(男子121人,女子139人),3年生243人(男子112人,女子131人)。なお,このうち1年生238人は2回目の調査にも引き続き参加した。
調査時期 200X年12月から200X+1年2月,5月と7月にかけて調査は実施された。
質問紙 自己愛傾向の測定には,小塩(1999)の自己愛人格目録短縮版(以下,NPI-S)の各因子のうち高負荷を示した18項目を用いた。また,居場所と居心地の測定には,檜皮(2003)の居場所と居心地目録20項目を用いた。
結果と考察
NPI-S(18項目)の因子分析結果 小塩(1999)と同様に,第1因子「注目・賞賛欲求」6項目,第2因子「優越感・有能性」6項目,第3因子「自己主張性」6項目とする3因子が検出されとされた。
居場所の選択と自己愛傾向 居場所の有無について,居場所と居心地目録の各質問項目のうち「4」「3」「2」と回答したものを1(居場所あり),「1」と回答したものを0(居場所なし)として,居場所選択数の得点を算出した。次に,NPI-S(18項目)の合計得点について,低得点から25%タイルごとにL群(18~29点),ML群(30~37点),MH群(38~44点),H群(45~72点)の4水準に群分けした。自己愛水準・性・学年別の居場所の選択数はTable1の通りである。
居場所選択数を従属変数,自己愛水準・性・学年を独立変数とした3要因の分散分析を行ったところ,1次,2次とも交互作用はなく,水準間の主効果のみが有意であった。下位検定の結果,L群<ML群<MH・H群の順に居場所の選択数が多く,自己愛傾向が高い者は学校内外に居場所を多く持っていると認知していることが明らかとなった。
自己愛水準別の居場所と居心地得点の時期による変化 自己愛水準の違いによる居場所と居心地目録の各因子の得点が,時期によってどのように変化するのかを検討するため,自己愛水準別に各因子の5月と7月の得点を算出した(Table2)。居場所と居心地目録の各因子得点を従属変数,自己愛水準・性・時期を独立変数とする3要因混合計画の分散分析を行ったところ,1次,2次とも交互作用はなく,水準間・性・時期の主効果がそれぞれ有意であった。下位検定の結果,水準間では「友だちと会話する場」得点は自己愛のL群<ML・MH群<H群の順に高く,時期では5月よりも7月の方が高かった。一方,「長時間生活する場」得点は時期では5月よりも7月の方が低く,性では男子より女子の方が得点は高かった。
以上の結果から,自己愛傾向が高いほど居心地の良さを感じており,その居心地の良さは5月よりも7月の方がより強く感じられていることが明らかとなった。その一方,心が安らぎ長時間過ごす場は5月よりも7月の方が減少しており,男子よりも女子の方がよりそのように感じていることが示された。高校入学後の5月から7月にかけて,心が安らぎ長時間過ごす場は減少しているものの,反面,その場はより安らぎを感じることができるという意味あいが強くなっているのではないかと思われる。そして,こうした特徴は自己愛傾向が強い者ほど顕著になると考えられる。