[PG035] 自己決定理論における心理的欲求充足と学校適応感の関連について
キーワード:学校適応感, 自己決定理論, ASSESS
問題と目的 学校適応感とは,学校に関わることについての,個人と環境の主観的な関係のことであり,学校への適応の一指標である(栗原,2013)。勉強や級友との関係,教師との関係など学校内における多くの場面についての適応感が考えられる。子ども達の適応感についてアセスメントしていくことが,学校不適応の予防に効果的であると,伊藤(2011)は述べる。自己決定理論によれば,心理的欲求(自律性,コンピテンス,関係性)の充足が,well-beingやより良い発達を導く(Deci & Vansteenkiste,2004)。この学校適応感と心理的欲求充足の間には,正の関連があると大久保・長沼・青柳(2003)は述べている。以上から本研究では,小学生の心理的欲求と,学校適応感の関連を検討することを目的とする。
方法 調査実施方法及び対象者 実施マニュアル・質問紙を郵送し,児童の所属校教師に実施を依頼した。質問紙は無記名式自記式質問紙を用いた。調査対象者は小学生142名(A校5年20名,6年19名,B校5年Ⅰ28名,Ⅱ28名,6年Ⅰ24名,Ⅱ23名)。青年期では学校毎に学校への適応感は異なる(大久保,2005)。小学校でも学校,学級毎の適応感は異なる可能性があると考えられ,学校・学級毎に分析を行うこととした。質問紙の構成 Ⅰ学校環境適応感尺度(以下アセス):栗原・井上(2010)の子どもの学校環境における適応感を測定する尺度。34項目,5件法。Ⅱ心理的欲求充足尺度(以下心理的欲求):大久保他(2003)がDeci & Ryan(2000)の“The Basic Need Satisfaction in Life Scale”を翻訳した尺度。21項目,5件法。
結果と考察 分析では,アセス,心理的欲求共に,下位因子(生活満足感,教師サポート,友人サポート,非侵害的関係,向社会的スキル,学習適応感/自律性欲求,コンピテンス欲求,関係性欲求)それぞれに該当する各項目の和を項目数で除したものを使用する。
アセス6項目を説明変数,心理的欲求3下位因子をそれぞれ目的変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行った(表1)。多くの学級で,生活全体への満足や楽しさを感じている程度を示す生活満足感と心理的欲求の間に正の関連が見られた。3つの心理的欲求の充足には,生活全体に満足しているかということが影響していると考えられる。学年毎に見ると,6年では生活満足感以外の要因も,心理的欲求に関連している。学年が進むと,心理的欲求充足は,生活全体の満足感以外の要因によっても影響される可能性があることを示していると考えられる。
方法 調査実施方法及び対象者 実施マニュアル・質問紙を郵送し,児童の所属校教師に実施を依頼した。質問紙は無記名式自記式質問紙を用いた。調査対象者は小学生142名(A校5年20名,6年19名,B校5年Ⅰ28名,Ⅱ28名,6年Ⅰ24名,Ⅱ23名)。青年期では学校毎に学校への適応感は異なる(大久保,2005)。小学校でも学校,学級毎の適応感は異なる可能性があると考えられ,学校・学級毎に分析を行うこととした。質問紙の構成 Ⅰ学校環境適応感尺度(以下アセス):栗原・井上(2010)の子どもの学校環境における適応感を測定する尺度。34項目,5件法。Ⅱ心理的欲求充足尺度(以下心理的欲求):大久保他(2003)がDeci & Ryan(2000)の“The Basic Need Satisfaction in Life Scale”を翻訳した尺度。21項目,5件法。
結果と考察 分析では,アセス,心理的欲求共に,下位因子(生活満足感,教師サポート,友人サポート,非侵害的関係,向社会的スキル,学習適応感/自律性欲求,コンピテンス欲求,関係性欲求)それぞれに該当する各項目の和を項目数で除したものを使用する。
アセス6項目を説明変数,心理的欲求3下位因子をそれぞれ目的変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行った(表1)。多くの学級で,生活全体への満足や楽しさを感じている程度を示す生活満足感と心理的欲求の間に正の関連が見られた。3つの心理的欲求の充足には,生活全体に満足しているかということが影響していると考えられる。学年毎に見ると,6年では生活満足感以外の要因も,心理的欲求に関連している。学年が進むと,心理的欲求充足は,生活全体の満足感以外の要因によっても影響される可能性があることを示していると考えられる。