[PG054] 大学生の非科学的現象に対する認識に影響する体験の効果
血液型性格判断を用いて
キーワード:血液型性格判断, 信念, バーナム効果
問題と目的
血液型性格判断とは,血液型と性格が関連するという日本で広く浸透している考え方の一つである。ただし,これまでの心理学的な研究の中では,血液型と性格に関連があるとする結論は得られていない(長谷川, 1988;松井, 1991など)。
本研究では,特に血液型性格判断に使用される性格記述を用いてバーナム効果を体験することが血液型性格判断に対する認識にどのような影響を及ぼすかを調べることを目的とした。
方法
調査対象者:「総合人間科学」を受講している工学部の大学生83名(男性73名,女性10名)を対象に,授業の前後にアンケート調査を行った。
手続き:調査は集団で行った.血液型性格判断に対する意識を調べる項目(7項目)を授業前に評定させ,ビデオ視聴の後,講義を行った。その後,血液型性格判断に対する意識を調べる項目をもう一度授業後に評定させ,授業内容についての評定(印象に残ったか,自分の考えに影響するか)も行わせた。授業では,血液型性格判断を扱ったテレビ番組の一部(20分程度)を用い,ビデオを視聴したのち,残りの時間(1時間)で講義を行った。ビデオの内容は,1.血液型性格判断の歴史,2.バーナム効果の実験(4種類の性格表現から,自分に当てはまるものを選び,後からそれが何型の性格を表現したものかを聞くというもの),3.統計の話,4.2人の科学者の話であった。講義の内容は,1.バーナム効果,自己成就預言,2.統計の話,3.ステレオタイプの話,4.差別,偏見の話であった。
結果と考察
記入漏れのあった15名のデータを省き,68名のデータを分析の対象とした。
山縣(2013)に基づき,血液型性格判断に対する信念に関わる項目(4項目)と行動に関わる項目(3項目)の平均値と標準偏差を求め,講義の前後で比較したところ,信念に関わる項目において,有意な差がみられ,講義後血液型性格判断を信じる度合いが低くなっていることが示された。
また,バーナム効果の実験において,実際に自分の血液型と,選んだ選択肢の血液型が一致したか否かでグループに分けたところ,不一致のグループが33名,一致したグループが24名,どちらかが不明であったグループが11名であった。一致グループと不一致グループの信念と行動の得点について,講義前から講義後の得点をひいたものを平均し,比較した結果,信念の得点差が不一致のグループの方が大きいことが示された。このことから,実際に自分の性格にあてはまると思ったものが,自分の性格を表していたものではなかったという体験が,血液型性格判断に対する信念を弱める効果があったといえる。
血液型性格判断とは,血液型と性格が関連するという日本で広く浸透している考え方の一つである。ただし,これまでの心理学的な研究の中では,血液型と性格に関連があるとする結論は得られていない(長谷川, 1988;松井, 1991など)。
本研究では,特に血液型性格判断に使用される性格記述を用いてバーナム効果を体験することが血液型性格判断に対する認識にどのような影響を及ぼすかを調べることを目的とした。
方法
調査対象者:「総合人間科学」を受講している工学部の大学生83名(男性73名,女性10名)を対象に,授業の前後にアンケート調査を行った。
手続き:調査は集団で行った.血液型性格判断に対する意識を調べる項目(7項目)を授業前に評定させ,ビデオ視聴の後,講義を行った。その後,血液型性格判断に対する意識を調べる項目をもう一度授業後に評定させ,授業内容についての評定(印象に残ったか,自分の考えに影響するか)も行わせた。授業では,血液型性格判断を扱ったテレビ番組の一部(20分程度)を用い,ビデオを視聴したのち,残りの時間(1時間)で講義を行った。ビデオの内容は,1.血液型性格判断の歴史,2.バーナム効果の実験(4種類の性格表現から,自分に当てはまるものを選び,後からそれが何型の性格を表現したものかを聞くというもの),3.統計の話,4.2人の科学者の話であった。講義の内容は,1.バーナム効果,自己成就預言,2.統計の話,3.ステレオタイプの話,4.差別,偏見の話であった。
結果と考察
記入漏れのあった15名のデータを省き,68名のデータを分析の対象とした。
山縣(2013)に基づき,血液型性格判断に対する信念に関わる項目(4項目)と行動に関わる項目(3項目)の平均値と標準偏差を求め,講義の前後で比較したところ,信念に関わる項目において,有意な差がみられ,講義後血液型性格判断を信じる度合いが低くなっていることが示された。
また,バーナム効果の実験において,実際に自分の血液型と,選んだ選択肢の血液型が一致したか否かでグループに分けたところ,不一致のグループが33名,一致したグループが24名,どちらかが不明であったグループが11名であった。一致グループと不一致グループの信念と行動の得点について,講義前から講義後の得点をひいたものを平均し,比較した結果,信念の得点差が不一致のグループの方が大きいことが示された。このことから,実際に自分の性格にあてはまると思ったものが,自分の性格を表していたものではなかったという体験が,血液型性格判断に対する信念を弱める効果があったといえる。