日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PG

(5階ラウンジ)

2014年11月9日(日) 10:00 〜 12:00 5階ラウンジ (5階)

[PG069] 日本人小学生における読書量,読書に関する意識,および言語力の関連(1)

読書量質問項目の妥当性の検討

上田紋佳1, 塩谷京子2, 小山内秀和3, 猪原敬介4 (1.日本心理学諸学会連合, 2.関西大学, 3.京都大学, 4.電気通信大学)

キーワード:読書, 図書貸し出し数, 項目反応理論

読書活動が児童の認知発達に及ぼす影響についての調査・実験では,読書量の正確な推定が重要となる。しかし,読書量の質問項目の妥当性や精度に関する検討は十分ではない。読書量を質問紙によって測定する場合,読書時間を直接問う項目とどの程度読んでいるかを主観的な読書頻度を問う項目が考えられる。そこで本研究では,これらの項目による読書量の推定の妥当性を図書貸し出し数との関連によって検討し,項目反応理論によって精度を評価することを目的とする。
方 法
調査参加者 小学生371名(1~6年生)
質問項目 読書量をたずねる項目は,表1の1~3の3項目であり,「ぜんぜん読まない(1点)」から「とてもよく読む(4点)」の4段階での評定を求めた。読書時間をたずねる項目は項目4であり,「0~15分」「15分~30分」「30分~1時間」「1時間いじょう」の4段階での評定を求めた。
図書貸し出し数 2013年の4月から12月までの,小学校の図書室での図書貸し出し数を用いた。
結果および考察
相関分析 各項目と図書貸し出し数との相関を求めた結果,有意な正の相関が認められたため(表2),ある程度妥当性のある測定といえよう。
項目パラメタ 段階反応モデルによって推定された項目1,4の項目反応カテゴリ特性曲線を下に示す(図1)。項目1では識別力が高くなっている。一方,項目4では,「0~15分」,「1時間以上」の回答が多く,自宅では全く読まないか,読む場合は長時間読むことが推測される。
書の主観的頻度をたずねる項目と読書時間を直接問う項目は,読書の実態の異なる側面を測定している可能性が示された。特に,読書時間を問う場合は読書時間の設定に工夫が必要とされるだろう