[PH007] 小学校における環境教育の実践と評価
ライフサイクル思考を取り入れた定量的環境教育の実践
キーワード:小学校, 環境教育, 実践評価
ライフサイクル思考とは、持続可能な社会の構築を目指し、「生産・流通・消費・廃棄」のサイクルから環境問題を捉えようとする考え方である(国立教育政策研究所,2007)。学校教育において環境教育は実践されているものの、環境保全やゴミの減少、エネルギー問題を取り扱うことが多く、ライフサイクル思考を取り扱った学校教育実践は数少ない(LCA学会環境教育研究会報告書,2013)。本研究では、小学校でのライフサイクル思考を取り入れた環境教育の実践について、その有効性を検証することを目的とする。
【実践】
対象;小学校5年生2クラス
本実践での環境教育の目的は、小学校内に設置した雨水タンクにたまった雨水で緑のカーテンを育てることを通して、児童の①エコ活動の環境への負荷量の理解(ライフサイクル思考の育成)②エコ活動の日常生活への般化を促進することであった。実践内容は、表1に示すとおりである。緑のカーテンを育てる土作り、苗植えは、休み時間を利用して実施した。授業は「雨水で育てる緑のカーテン」というテーマで大学教員が2コマ(90分)実施した。授業はライフサイクル思考や環境負荷について科学的データをふまえて児童に説明した後、実際に緑のカーテンを育てる際に、「ホースとジョウロどちらを利用したほうが環境負荷がかからないか」というジレンマ課題について、グループで話し合った。また、苗植えから完成(写真撮影)まで、児童が毎日水やりを実施した。
【評価】
環境教育の実践評価を行うために、授業実践前後に児童対象に「絵感想文」を実施した。
方法
対象;小学校5年生61名
実施時期;事前-2013年6月中旬、事後-7月下旬
手続き;授業時間を利用して「雨水で育てる緑のカーテン」というタイトルで児童に絵感想文を実施した。絵感想文とは、絵日記のように、テーマについて児童がイメージする絵を用紙の上半分に描き、文章を下半分に記述するものとした。
分析
絵感想文の、児童の文章記述のみを分析データとした。まず、記述内容から大学教員と大学院生の2人で意味のまとまりからカテゴリーを作成した。次に、児童の記述内容を1文ずつ取り出し、作成したカテゴリーに分類した。分析した文章数は計1099文(事前515文、事後584文)であった。
結果
作成したカテゴリーと、事前、事後のカテゴリー数を示したものを図1に示す。「ライフサイクル思考」カテゴリーでは「今年はグリーンカーテンや雨水の道具もあるし、ちょっとでも悪い面をなくして環境にいいことをしていきたい」との意見が得られた。
【考察】
小学校での環境教育の実践の結果、事後の「環境の負荷量」や「ライフサイクル思考」に関する記述が有意に増えており、本実践は有効であったといえる。一方で児童の記述内容という質的データの分析のみで、教育実践の評価を実施しており、量的データもあわせた教育実践の検証が今後の課題である。
【実践】
対象;小学校5年生2クラス
本実践での環境教育の目的は、小学校内に設置した雨水タンクにたまった雨水で緑のカーテンを育てることを通して、児童の①エコ活動の環境への負荷量の理解(ライフサイクル思考の育成)②エコ活動の日常生活への般化を促進することであった。実践内容は、表1に示すとおりである。緑のカーテンを育てる土作り、苗植えは、休み時間を利用して実施した。授業は「雨水で育てる緑のカーテン」というテーマで大学教員が2コマ(90分)実施した。授業はライフサイクル思考や環境負荷について科学的データをふまえて児童に説明した後、実際に緑のカーテンを育てる際に、「ホースとジョウロどちらを利用したほうが環境負荷がかからないか」というジレンマ課題について、グループで話し合った。また、苗植えから完成(写真撮影)まで、児童が毎日水やりを実施した。
【評価】
環境教育の実践評価を行うために、授業実践前後に児童対象に「絵感想文」を実施した。
方法
対象;小学校5年生61名
実施時期;事前-2013年6月中旬、事後-7月下旬
手続き;授業時間を利用して「雨水で育てる緑のカーテン」というタイトルで児童に絵感想文を実施した。絵感想文とは、絵日記のように、テーマについて児童がイメージする絵を用紙の上半分に描き、文章を下半分に記述するものとした。
分析
絵感想文の、児童の文章記述のみを分析データとした。まず、記述内容から大学教員と大学院生の2人で意味のまとまりからカテゴリーを作成した。次に、児童の記述内容を1文ずつ取り出し、作成したカテゴリーに分類した。分析した文章数は計1099文(事前515文、事後584文)であった。
結果
作成したカテゴリーと、事前、事後のカテゴリー数を示したものを図1に示す。「ライフサイクル思考」カテゴリーでは「今年はグリーンカーテンや雨水の道具もあるし、ちょっとでも悪い面をなくして環境にいいことをしていきたい」との意見が得られた。
【考察】
小学校での環境教育の実践の結果、事後の「環境の負荷量」や「ライフサイクル思考」に関する記述が有意に増えており、本実践は有効であったといえる。一方で児童の記述内容という質的データの分析のみで、教育実践の評価を実施しており、量的データもあわせた教育実践の検証が今後の課題である。