[PF043] 私たちは,どのように折り紙を折っているのか?(12)
完成物から「折り」イメージ形成のプロセス分析
キーワード:折り紙, 「折り」イメージ, 活動的表象
はじめに
本研究の目的は,折り紙の作品の完成物を見て,どのように折るのかといった,「折り」のイメージを形成するプロセスを明らかにすることを目的とする。折り紙を折る際には,紙の動きのイメージとそれにともなう手指の動きのイメージを形成することが必要となる。完成物を見て折ることは,心的に「折り」のイメージを形成することが重要になる。また,「折り」のイメージは,動きイメージであり,ブルーナーの活動的表象などと関連が深いと考えられる。
方法
調査対象者:成人女性1名。折り紙についての経験は比較的多く,中程度の難易度のものであれば折り図を見て折ることができる。
課題:「奴さんのつるし飾り」における奴さんの写真(Figure1)を見て同じものを折る。
手続き:Figure1の写真を見せ,「これと同じものを折ってください。折りながら考えたことを声に出しながら折ってください。」と教示した。折っている様子をデジタルビデオカメラで記録した。
結果と考察
所要時間:66分。
折りのプロセスは,3段階に分けることができると考えられたので,1段階,2段階,3段階について概要を記述する。
・第1段階
「つるし飾りの奴さん」と通常の奴さんの相違点は,奴さん本体の周囲に四角形の折り紙があるかどうかである(以下,この部分をはねと呼ぶ)。
このことに注目し,通常の奴さんをFigure2の⑥までおり,はねを作成するためFigure3のように折った。しかし,そのまま折っていくとお腹が1枚の紙にならなかった(Figure4)。
・第2段階
はねを作るためには,Figure2の②から⑤までの折り方の一部を反対に折ればはねができると考えた。しかし,顔,手,足の部分は③のステップで作られ変えることはできないので,④でうしろに折った。しかし,第1段階と同じ結果(Figure4)になった。
・第3段階
一般的な奴さんを折り,裏側の折り紙の重なっている部分に,はねになる箇所(Figure5)があることに気がつく。そして,はねが出るように折り紙を裏がえして折り,形を整える(Figure6)。この操作を繰り返し手足を作り完成させた。
以上のプロセスから,実際に変形させて試行錯誤を繰り返し完成物の構造をイメージし,「折り」のイメージを形成していったことから,「折り」のイメージを形成には,実際に折ってその動きイメージを心的に表象することが重要だと考えられる。
本研究は,科学研究費基盤C(H24~H26)研究代表者:丸山真名美,課題番号24530840の助成を受けて行われた。
本研究の目的は,折り紙の作品の完成物を見て,どのように折るのかといった,「折り」のイメージを形成するプロセスを明らかにすることを目的とする。折り紙を折る際には,紙の動きのイメージとそれにともなう手指の動きのイメージを形成することが必要となる。完成物を見て折ることは,心的に「折り」のイメージを形成することが重要になる。また,「折り」のイメージは,動きイメージであり,ブルーナーの活動的表象などと関連が深いと考えられる。
方法
調査対象者:成人女性1名。折り紙についての経験は比較的多く,中程度の難易度のものであれば折り図を見て折ることができる。
課題:「奴さんのつるし飾り」における奴さんの写真(Figure1)を見て同じものを折る。
手続き:Figure1の写真を見せ,「これと同じものを折ってください。折りながら考えたことを声に出しながら折ってください。」と教示した。折っている様子をデジタルビデオカメラで記録した。
結果と考察
所要時間:66分。
折りのプロセスは,3段階に分けることができると考えられたので,1段階,2段階,3段階について概要を記述する。
・第1段階
「つるし飾りの奴さん」と通常の奴さんの相違点は,奴さん本体の周囲に四角形の折り紙があるかどうかである(以下,この部分をはねと呼ぶ)。
このことに注目し,通常の奴さんをFigure2の⑥までおり,はねを作成するためFigure3のように折った。しかし,そのまま折っていくとお腹が1枚の紙にならなかった(Figure4)。
・第2段階
はねを作るためには,Figure2の②から⑤までの折り方の一部を反対に折ればはねができると考えた。しかし,顔,手,足の部分は③のステップで作られ変えることはできないので,④でうしろに折った。しかし,第1段階と同じ結果(Figure4)になった。
・第3段階
一般的な奴さんを折り,裏側の折り紙の重なっている部分に,はねになる箇所(Figure5)があることに気がつく。そして,はねが出るように折り紙を裏がえして折り,形を整える(Figure6)。この操作を繰り返し手足を作り完成させた。
以上のプロセスから,実際に変形させて試行錯誤を繰り返し完成物の構造をイメージし,「折り」のイメージを形成していったことから,「折り」のイメージを形成には,実際に折ってその動きイメージを心的に表象することが重要だと考えられる。
本研究は,科学研究費基盤C(H24~H26)研究代表者:丸山真名美,課題番号24530840の助成を受けて行われた。