[PG040] フューチャーセッションを用いたアクティブ・ラーニングの実例
Keywords:アクティブ・ラーニング, 生徒主体型授業
中央教育審議会(2014)では,新しい時代に必要となる資質・能力を育むために必要となるアクティブ・ラーニングが,具体的にどのようであるべきかについて諮問が行われている。本研究では,フューチャーセッション形式の対話型授業を通して,アクティブ・ラーニングの具体的な方法について検討した。フューチャーセッションとは,立場を超えた多様な参加者を集めて,未来に向けた創造的な対話を行う場を指す。参加者は自らの知識や経験を活かして,未来志向のアイディアを出し合っていく。この対話を通して,参加者の態度や考え方は変容し,課題解決に向けた具体的なアクションを生み出すことができる。
本研究は,フューチャーセッション形式の対話型授業を2回,対話型講演会を1回,対話型授業を経験した学生が主催する対話型授業を行い,生徒主体型授業の準備シートと教員免許講習案を作成することを目的とし実施された。
対話型授業・対話型講演会の概要
第1回対話授業 参加者は,M高校の生徒41名であった。「超高齢社会の未来―M高の役割,M高生の役割―」について100分間の対話を実施した。参加者には事前に,高齢社会の基本的な課題を読ませ,地域の取り組みを調べさせた。対話型授業では,グループで対話を行い,最後に未来新聞を作成させ,発表した。
第2回対話授業 参加者は,M高校の生徒38名であった。「超高齢社会の未来を支える若者像を考えよう」について100分間の対話を実施した。まず,前回のアイディアを復習し,様々な立場に立って対話を行った。最後に,2020年の若者像のロールモデルを作成させ,発表した。
対話型講演会 参加者は高校生・大学生・社会人計52名であった。「みんなが暮らしやすい『超高齢社会』の未来―ともに生きる未来シナリオを描こう―」について180分間の対話を行った。実社会の現状・未来と,M高校の対話型授業の成果を伝えた後,超高齢社会を動かすキーワードを出し合った。これを踏まえて未来シナリオを作成し,発表した。
成果とまとめ
対話型授業・対話型講演会では,フューチャーセッション方式の対話手法の教育現場での適応可能性を検討した。その結果,問いの設定の仕方,事前学習の重要性,対話手法の効果,対話プロセスの強化に対する工夫,ファシリテーションの技術に関する知見を得た。これらを踏まえて,実際に生徒主体型授業を行うための準備シートと教員免許講習案を作成した。
準備シート 準備シートは,事前の検討課題,スケジュールの検討,継続性の検討から成り立つ。事前の検討課題では,①問いの設定,②現状整理,③多様性の維持,④事前課題の設定,⑤予想される成果の5つのプロセスを作成した。スケジュールの検討では,⑥日時と会場の決定,⑦ツール/マテリアル,⑧予算の3つのプロセスを作成した。最後に継続性の検討では,⑨継続性の有無,⑩次回への方向性の5つのプロセスを作成した。継続性は,対話型授業は継続して実施することで効果が上がることが確認されたため (宮崎産業経営大学文部科学省委託事業プロジェクト, 2015),作成したプロセスである。この準備シートを用いて,対話型講演会に参加した大学生3名が実際に対話型授業を準備・実施し,その効果を確認した。
教員免許状更新講習案 準備シートを用いて,平成27年度に「新しい学びと実践力を身に付けるアクティブ・ラーニングの方法論:基礎編と応用編」の2本の講習を行うことを文科省より認可された。基礎編では,対話型授業の方法を講義と対話を通して講義し,応用編では,対話型授業を実際に受講者が企画・運営する予定である。
引用文献
中央教育審議会(2014). 初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)
宮崎産業経営大学文部科学省委託事業プロジェクト(2015). 平成26年度免許更新制高度化のための調査研究事業 委託事業成果報告書
本研究は,フューチャーセッション形式の対話型授業を2回,対話型講演会を1回,対話型授業を経験した学生が主催する対話型授業を行い,生徒主体型授業の準備シートと教員免許講習案を作成することを目的とし実施された。
対話型授業・対話型講演会の概要
第1回対話授業 参加者は,M高校の生徒41名であった。「超高齢社会の未来―M高の役割,M高生の役割―」について100分間の対話を実施した。参加者には事前に,高齢社会の基本的な課題を読ませ,地域の取り組みを調べさせた。対話型授業では,グループで対話を行い,最後に未来新聞を作成させ,発表した。
第2回対話授業 参加者は,M高校の生徒38名であった。「超高齢社会の未来を支える若者像を考えよう」について100分間の対話を実施した。まず,前回のアイディアを復習し,様々な立場に立って対話を行った。最後に,2020年の若者像のロールモデルを作成させ,発表した。
対話型講演会 参加者は高校生・大学生・社会人計52名であった。「みんなが暮らしやすい『超高齢社会』の未来―ともに生きる未来シナリオを描こう―」について180分間の対話を行った。実社会の現状・未来と,M高校の対話型授業の成果を伝えた後,超高齢社会を動かすキーワードを出し合った。これを踏まえて未来シナリオを作成し,発表した。
成果とまとめ
対話型授業・対話型講演会では,フューチャーセッション方式の対話手法の教育現場での適応可能性を検討した。その結果,問いの設定の仕方,事前学習の重要性,対話手法の効果,対話プロセスの強化に対する工夫,ファシリテーションの技術に関する知見を得た。これらを踏まえて,実際に生徒主体型授業を行うための準備シートと教員免許講習案を作成した。
準備シート 準備シートは,事前の検討課題,スケジュールの検討,継続性の検討から成り立つ。事前の検討課題では,①問いの設定,②現状整理,③多様性の維持,④事前課題の設定,⑤予想される成果の5つのプロセスを作成した。スケジュールの検討では,⑥日時と会場の決定,⑦ツール/マテリアル,⑧予算の3つのプロセスを作成した。最後に継続性の検討では,⑨継続性の有無,⑩次回への方向性の5つのプロセスを作成した。継続性は,対話型授業は継続して実施することで効果が上がることが確認されたため (宮崎産業経営大学文部科学省委託事業プロジェクト, 2015),作成したプロセスである。この準備シートを用いて,対話型講演会に参加した大学生3名が実際に対話型授業を準備・実施し,その効果を確認した。
教員免許状更新講習案 準備シートを用いて,平成27年度に「新しい学びと実践力を身に付けるアクティブ・ラーニングの方法論:基礎編と応用編」の2本の講習を行うことを文科省より認可された。基礎編では,対話型授業の方法を講義と対話を通して講義し,応用編では,対話型授業を実際に受講者が企画・運営する予定である。
引用文献
中央教育審議会(2014). 初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)
宮崎産業経営大学文部科学省委託事業プロジェクト(2015). 平成26年度免許更新制高度化のための調査研究事業 委託事業成果報告書