[PB55] 日本人の「ふつう」の生活
生活用品の所有や生活習慣に着目して
キーワード:「ふつう」, 相対的剥奪, 相対的貧困
Townsend(1962)は,貧困を所得のみによって規定されるものではなく,「相対的剥奪(relative deprivation)」として捉え,「(その人が住むコミュニティにおいて)平均的な人や家族が持つ資源を欠く状態」であるとした。このような意味での貧困は,「恥がなく(without shame)」「尊厳をもったまっとうな生活(decent life with dignity)」を送ることができる(Sen, 1987)と考えられる。
このような定義に基づいておこなわれた研究では,「持つのが当たり前」の「生活必需品(Socially accepted necessities)」と操作的に定義されて測定がおこなわれている。しかし,当然持つべきものが必ずしも多くの人に持たれているとは限らない。記述的規範のという意味では,実際にどの程度多くの人が持っているかということの影響力が大きいと考えられる。
方 法
「生活に関する意識調査」と題する質問紙調査をおこなった。株式会社ネオマーケティングに依頼し,20歳以上を対象としたWeb調査により,500名分のパネル・データを得た。回答者の性別の内訳は,男性320名;女性:180名であった。年齢構成は20歳代34名,30歳代77名,40歳代140名,50歳代142名,60歳代93名,70歳代14名,範囲は20~75歳,平均年齢は49.2歳(標準偏差12.37)であった。
調査項目については,Townsend(1979),阿部(2008)などを参考に,生活用品や生活習慣に関する項目を58項目設定した。「現在の日本の社会において,ふつうの生活とはどのようなものだと思いますか。以下の項目について,必要と感じている人の内,どの程度の人がもっている・行なうと思うかお答えください」という教示をおこない,回答を得た。
結 果
回答者による生活用品を所有していると推測される割合,および生活習慣をおこなっていると推測される割合を集計した。また,各選択肢の階級値を代表値として平均値を算出したものを表1に示した。
項目ごとの顕著な傾向は特にみられず,「ふつう」の日本人の生活用品の所有率や生活習慣に関する基礎データが得られたものと思われる。
また,生活所持品の所有や生活習慣の実行に関しては,年齢や学歴による変化は特に認められなかった(r=-.03,df=499,ns; r=.07,df=499,ns)。これらの結果は推測が正確かどうかは別として,推測がある程度一貫していることを伺わせる。
考 察
今回の調査はあくまでも項目自体の性質を明らかにするものであり,今後はこれらの結果に基づいて,相対的剥奪と精神的健康などとの関連について検討することが望まれる。
このような定義に基づいておこなわれた研究では,「持つのが当たり前」の「生活必需品(Socially accepted necessities)」と操作的に定義されて測定がおこなわれている。しかし,当然持つべきものが必ずしも多くの人に持たれているとは限らない。記述的規範のという意味では,実際にどの程度多くの人が持っているかということの影響力が大きいと考えられる。
方 法
「生活に関する意識調査」と題する質問紙調査をおこなった。株式会社ネオマーケティングに依頼し,20歳以上を対象としたWeb調査により,500名分のパネル・データを得た。回答者の性別の内訳は,男性320名;女性:180名であった。年齢構成は20歳代34名,30歳代77名,40歳代140名,50歳代142名,60歳代93名,70歳代14名,範囲は20~75歳,平均年齢は49.2歳(標準偏差12.37)であった。
調査項目については,Townsend(1979),阿部(2008)などを参考に,生活用品や生活習慣に関する項目を58項目設定した。「現在の日本の社会において,ふつうの生活とはどのようなものだと思いますか。以下の項目について,必要と感じている人の内,どの程度の人がもっている・行なうと思うかお答えください」という教示をおこない,回答を得た。
結 果
回答者による生活用品を所有していると推測される割合,および生活習慣をおこなっていると推測される割合を集計した。また,各選択肢の階級値を代表値として平均値を算出したものを表1に示した。
項目ごとの顕著な傾向は特にみられず,「ふつう」の日本人の生活用品の所有率や生活習慣に関する基礎データが得られたものと思われる。
また,生活所持品の所有や生活習慣の実行に関しては,年齢や学歴による変化は特に認められなかった(r=-.03,df=499,ns; r=.07,df=499,ns)。これらの結果は推測が正確かどうかは別として,推測がある程度一貫していることを伺わせる。
考 察
今回の調査はあくまでも項目自体の性質を明らかにするものであり,今後はこれらの結果に基づいて,相対的剥奪と精神的健康などとの関連について検討することが望まれる。