[PE75] 大学生がスクールカウンセラーに対して抱くイメージの検討
キーワード:スクールカウンセラー, イメージ, 校種
目 的
スクールカウンセラー(以下,SC)は2013年時点で中学校はほぼ全校配置が達成されるなど,益々拡大・充実しているが,その敷居の高さは課題となっている。一方,SCも個人面談以外の日常生活場面で児童生徒と関わる機会も増えており,活躍の幅が広がっている。児童生徒がSCに対して抱いているイメージは,相談への準備因子となるものと考えられる。そこで本研究では,大学生に対して,過去のSCとの関わり経験とイメージについて尋ね,その関連を検討することを目的とした。
方 法
(1) 調査時期および調査方法
2014年の5~10月にかけて,講義終了後に集団による無記名自記式質問紙を配布,その場で回収した。調査の目的,自由意志による回答,個名情報保護等の研究遂行上の倫理についての説明を質問紙の表紙に記載し,読み上げた。
(2) 分析対象者
有効回答は596名であった(有効回答率87.0%)。男性310名,女性286名であった。
(3) 調査内容
① 関わり経験について尋ねる項目
過去のSCとの関わり経験を尋ねるため,「SCが発行した印刷物を読んだ」,「集会で話を聞いた」,「授業を受けた」,「雑談をした(以下,雑談)」,「相談をした(以下,相談)」の5つの形態についてそれぞれの校種(小学校,中学校,高等学校)において過去に経験があったかどうか,複数回答可で回答を求めた。
③ SCに対するイメージを尋ねる項目
SCに対するイメージを測るため,「SCに対するイメージ」尺度を用いた。SCという役職に就く人のポジティブな人柄を表す「ポジティブな性格イメージ」(以下,性格)と,SCに対する親しみやすさについてのイメージを表した「親和性イメージ」尺度(以下,親和)。22項目,5件法。得点が高いほど,その程度が大きいことを示す。
③ 属性
性別,年齢,学年について尋ねた。
結 果
校種および関わりの形態の有無によって,各尺度の下位尺度間に違いがあるかを検討するため,独立サンプルのt検定を行った。
その結果,「性格」において中学雑談有群(47名)が無群よりも有意に得点が高く(t(594)=2.60,p<.01),「親和」においても有群が無群よりも有意に得点が高かった(t(594)=3.70,p<.001)。「性格」において高校雑談有群(27名)が無群よりも有意に得点が高く(t(594) =2.56,p<.05),「親和」においても有群が無群よりも有意に得点が高かった(t(594) =3.45,p<.01)。「性格」において中学相談有群(26名)が無群よりも有意に得点が高く(t(594)=2.09,p<.05),「親和」においても有群が無群よりも有意に得点が高かった(t(594)=2.18,p<.05)。
考 察
本研究の結果,中学校や高等学校時における雑談経験や中学校における相談の経験と,SCに対するポジティブなイメージと関連があることが示された。したがって,児童生徒たちにとっては,より直接的な接触経験がより身近に感じられ,ポジティブなイメージの形成に重要である可能性が示唆された。
スクールカウンセラー(以下,SC)は2013年時点で中学校はほぼ全校配置が達成されるなど,益々拡大・充実しているが,その敷居の高さは課題となっている。一方,SCも個人面談以外の日常生活場面で児童生徒と関わる機会も増えており,活躍の幅が広がっている。児童生徒がSCに対して抱いているイメージは,相談への準備因子となるものと考えられる。そこで本研究では,大学生に対して,過去のSCとの関わり経験とイメージについて尋ね,その関連を検討することを目的とした。
方 法
(1) 調査時期および調査方法
2014年の5~10月にかけて,講義終了後に集団による無記名自記式質問紙を配布,その場で回収した。調査の目的,自由意志による回答,個名情報保護等の研究遂行上の倫理についての説明を質問紙の表紙に記載し,読み上げた。
(2) 分析対象者
有効回答は596名であった(有効回答率87.0%)。男性310名,女性286名であった。
(3) 調査内容
① 関わり経験について尋ねる項目
過去のSCとの関わり経験を尋ねるため,「SCが発行した印刷物を読んだ」,「集会で話を聞いた」,「授業を受けた」,「雑談をした(以下,雑談)」,「相談をした(以下,相談)」の5つの形態についてそれぞれの校種(小学校,中学校,高等学校)において過去に経験があったかどうか,複数回答可で回答を求めた。
③ SCに対するイメージを尋ねる項目
SCに対するイメージを測るため,「SCに対するイメージ」尺度を用いた。SCという役職に就く人のポジティブな人柄を表す「ポジティブな性格イメージ」(以下,性格)と,SCに対する親しみやすさについてのイメージを表した「親和性イメージ」尺度(以下,親和)。22項目,5件法。得点が高いほど,その程度が大きいことを示す。
③ 属性
性別,年齢,学年について尋ねた。
結 果
校種および関わりの形態の有無によって,各尺度の下位尺度間に違いがあるかを検討するため,独立サンプルのt検定を行った。
その結果,「性格」において中学雑談有群(47名)が無群よりも有意に得点が高く(t(594)=2.60,p<.01),「親和」においても有群が無群よりも有意に得点が高かった(t(594)=3.70,p<.001)。「性格」において高校雑談有群(27名)が無群よりも有意に得点が高く(t(594) =2.56,p<.05),「親和」においても有群が無群よりも有意に得点が高かった(t(594) =3.45,p<.01)。「性格」において中学相談有群(26名)が無群よりも有意に得点が高く(t(594)=2.09,p<.05),「親和」においても有群が無群よりも有意に得点が高かった(t(594)=2.18,p<.05)。
考 察
本研究の結果,中学校や高等学校時における雑談経験や中学校における相談の経験と,SCに対するポジティブなイメージと関連があることが示された。したがって,児童生徒たちにとっては,より直接的な接触経験がより身近に感じられ,ポジティブなイメージの形成に重要である可能性が示唆された。