日本教育心理学会第59回総会

講演情報

ポスター発表 PC(01-83)

ポスター発表 PC(01-83)

2017年10月7日(土) 15:30 〜 17:30 白鳥ホールB (4号館1階)

15:30 〜 17:30

[PC23] 私たちは、どのように折り紙を折っているのか?(21)

幼児における円形折り紙の変形方略の分析

丸山真名美 (至学館大学)

キーワード:幼児, 円形折り紙, 「折り」方略

問題と目的
 折り紙は,一枚の紙の操作を加え変形することによって,ある形にしたり作品をつくったりする日本の伝統あそびである。また,今日では「ORIGAMI」として世界中で,幅広い年齢層の人たちに楽しまれている。
 わが国では,「折り紙」は子どもの遊びとして一般的に認識されている傾向があり,幼児期および低学年の子どもの折り紙遊びが盛んである。一 「折り紙」を「折る」プロセスはについて,「①紙を触る→②紙を手指を使って変形させる→③変形した形を確認する→④さらに手指を使って変形させる」という繰り返すこと記述できる。
 幼児においては,プロセスの②,つまり手指を使って紙を変形させるという運動と変形の結果を確認するプロセス③が彼らの認知的な発達に貢献すると考えられる。しかしながら,子どもの「折り紙遊び」は,通常正方形の折り紙を用いて,いわゆる折り方を教えてもらってそれを覚えることが優勢である。このため,子どもは「折り方」が決まっていてそのとおり折って,作品を作ることが「折り紙遊び」であるという認識を持つようになる。しかし,このような状況であると,自身が行った運動(変形)の結果を確認することが,幼児にどのような影響を持つのかを検討することが困難になる。
 本研究では,あらかじめ「折り方」が決められていなかたり,どのような作品ができるのか提示されていない円形の折り紙を使用して,幼児の「自身が行った運動(変形)の結果を確認する」ことをどのように行っているのかについて,自由遊びの中でどのようにおこなっているのか観察し,円形折り紙の「折り」方略を検討することを目的とする。
方   法
観察対象児:公立保育園の延長保育に参加する年中児十数名。
観察状況:自由遊びをしている時間帯に観察者が,子どもたちと一緒に折り紙を行い,観察した。
課題:円形折り紙を折る。「今日は,まあるい折り紙で遊んでみよう」と教示した円形折り紙:半径12cmの円形折り紙を作成した(Figure1)。子どもが好きな色を使用できるよう数色準備した。
結果と考察
 円形折り紙を提示されたときのどもの反応を示し,「折り」方略について示す。
1)子どもの反応 円形折り紙を提示したとき,子どもの多くは「変な形」「折り紙は四角なんだよ,変だよ」と指摘した。また,「どうやって折るの?」と尋ねるものが多かった。「自分で考えたり,思ったとおり自由に折るんだよ」と答えた。
2)「折り」の方略 多くの幼児が,最初は円形折り紙を半分に折り,①さらに半分に折りふくろ折りする,②半分に折ったものを開き中心に両端を合わせた。「折り」の方略については,以下の4つに分類できた
・パターンA:四角の折り紙の折り方を適用する
 Figure2は飛行機であるが,これは四角形の折り紙で飛行機をおる時と同じ手順で折ったものである。・パターンB:見通しを持たずどんどん折る
Figure3は,とにかくどんどん折っていき,最後に「なんか変な形になちゃった。」というものである。変形と次の変形の間の時間が短く,変形した形に次の変形がアフォードされている可能性が示唆された。・パターンC:できた形から命名する
パターンBのように見通しを持たすに折るが,出来た形から何かをイメージし命名するものである。折りながらこんな形になるだろうとイメージを持つようになる。Figure4は,帽子である。・パターンD:何を作るかあらかじめ決め,その形にするために考えながら折る。頭の中で折りの結果をイメージし試行錯誤を行う。「折り」イメージが形成されていると考えられる。Figure5は竹である。
 本研究は,愛知県大府市の児童課の許可を得て,観察を行い,データを使用した。