16:00 〜 18:00
[PF30] 大学エクステンション講座の受講者はどのような動機を持っているか
キーワード:大学エクステンション講座, 生涯学習, 受講動機
問 題
少子高齢化の現代,大学の提供する教育のあり方も変容が求められている。高等教育機関としての大学は,生涯学習を担う役割が期待される中で,教育の機会を学生だけでなく,広く社会に提供する様々な取り組みを行なっている。内閣府(2012)によると,生涯学習を受ける者は2005年調査時より増加している。その受講理由には「その学習が好き」「人生を豊かにする」といったものがあげられている。また,受講する場所は「公の機関における講座や教室」が最も多い。本研究では,大学エクステンション講座の受講生が,どのような動機を持って講座を受講しているか,その構造を明らかにすることを目的とした。
方 法
都内X大学エクステンションセンターで2016年11月に毎週1回計8回開催された「アドラー心理学実践講座」,2017年1月に毎週1回計4回開催された「教える技術講座」の受講生を対象に,質問紙調査を実施した。
質問紙は,講座の受講動機や受講のきっかけに関する設問26項目を作成した。回答方法は「1.あてはまらない」から「5.あてはまる」の5件法であった。質問項目は著者を含めた複数人で考案したものをランダム順に配置した。
結 果
両方の講座を受講し重複して回答した者,欠損を除外した有効回答者は62名であった。(有効回答率78%,平均年齢48.3歳,SD=11.13 ; 男性28名,女性34名)。大学エクステンション講座の受講動機26項目について因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行なった結果,スクリープロットの急落位置から5因子15項目が抽出された(Table1)。第1因子は5項目で構成されており,仲間と学ぶ内容の項目が高い負荷量を示したため,「仲間との学び」と命名した。第2因子は3項目で構成されており,自分に役立てようとする内容の項目が高い因子負荷量を示したため,「自分に活かす」と命名した。第3因子は3項目で構成されており,大学に関連した内容が高い負荷量を示したため,「大学ブランド」と命名した。
第4因子は2項目で構成され,仕事に役立てようとする内容に高い負荷量を示したため,「仕事に活かす」と命名した。第5因子は新たな学びを求める内容に高い負荷量を示したため,「チャレンジ」と命名した。下位尺度のα係数は,「仲間との学び」= .859,「自分に活かす」= .810,「大学ブランド」= .824,「仕事に活かす」= .848,「チャレンジ」= .689 であった。
考 察
大学エクステンション講座の受講生は,仲間との交流を持ちながら学ぶこと,自分自身の変化や挑戦,現在の仕事に活かすことを受講動機としていることが示唆された。また,大学の教育機関であることが受講動機のひとつとなっていることも明らかになった。同時に,仲間との学びを期待し,自分に活かしたいと考えている者は大学ブランドにも価値があること,仕事に活かしたいと考えている者は,自分にとって新たな知識や新しい分野への挑戦を期待し受講していることが示唆された。以上のことから,大学エクステンション講座は,単に趣味や楽しみといったカルチャースクール的な要素だけでなく,より学術的で受講者の仕事や自分自身に活かせる内容が期待されているといえるだろう。
引用文献
内閣府(2012) 生涯学習に関する世論調査
http://survey.gov-online.go.jp/h24/h24-gakushu/index.html
(参照日2017.5.12)
少子高齢化の現代,大学の提供する教育のあり方も変容が求められている。高等教育機関としての大学は,生涯学習を担う役割が期待される中で,教育の機会を学生だけでなく,広く社会に提供する様々な取り組みを行なっている。内閣府(2012)によると,生涯学習を受ける者は2005年調査時より増加している。その受講理由には「その学習が好き」「人生を豊かにする」といったものがあげられている。また,受講する場所は「公の機関における講座や教室」が最も多い。本研究では,大学エクステンション講座の受講生が,どのような動機を持って講座を受講しているか,その構造を明らかにすることを目的とした。
方 法
都内X大学エクステンションセンターで2016年11月に毎週1回計8回開催された「アドラー心理学実践講座」,2017年1月に毎週1回計4回開催された「教える技術講座」の受講生を対象に,質問紙調査を実施した。
質問紙は,講座の受講動機や受講のきっかけに関する設問26項目を作成した。回答方法は「1.あてはまらない」から「5.あてはまる」の5件法であった。質問項目は著者を含めた複数人で考案したものをランダム順に配置した。
結 果
両方の講座を受講し重複して回答した者,欠損を除外した有効回答者は62名であった。(有効回答率78%,平均年齢48.3歳,SD=11.13 ; 男性28名,女性34名)。大学エクステンション講座の受講動機26項目について因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行なった結果,スクリープロットの急落位置から5因子15項目が抽出された(Table1)。第1因子は5項目で構成されており,仲間と学ぶ内容の項目が高い負荷量を示したため,「仲間との学び」と命名した。第2因子は3項目で構成されており,自分に役立てようとする内容の項目が高い因子負荷量を示したため,「自分に活かす」と命名した。第3因子は3項目で構成されており,大学に関連した内容が高い負荷量を示したため,「大学ブランド」と命名した。
第4因子は2項目で構成され,仕事に役立てようとする内容に高い負荷量を示したため,「仕事に活かす」と命名した。第5因子は新たな学びを求める内容に高い負荷量を示したため,「チャレンジ」と命名した。下位尺度のα係数は,「仲間との学び」= .859,「自分に活かす」= .810,「大学ブランド」= .824,「仕事に活かす」= .848,「チャレンジ」= .689 であった。
考 察
大学エクステンション講座の受講生は,仲間との交流を持ちながら学ぶこと,自分自身の変化や挑戦,現在の仕事に活かすことを受講動機としていることが示唆された。また,大学の教育機関であることが受講動機のひとつとなっていることも明らかになった。同時に,仲間との学びを期待し,自分に活かしたいと考えている者は大学ブランドにも価値があること,仕事に活かしたいと考えている者は,自分にとって新たな知識や新しい分野への挑戦を期待し受講していることが示唆された。以上のことから,大学エクステンション講座は,単に趣味や楽しみといったカルチャースクール的な要素だけでなく,より学術的で受講者の仕事や自分自身に活かせる内容が期待されているといえるだろう。
引用文献
内閣府(2012) 生涯学習に関する世論調査
http://survey.gov-online.go.jp/h24/h24-gakushu/index.html
(参照日2017.5.12)