[PC42] 幼児のスマホ利用と言語発達の関係(1)
幼児のスマホ利用の状況
キーワード:スマホ、幼児、保護者の認識
はじめに
今や,人々の生活にスマートフォン(以下,スマホ)が入り込み,幼児も例外ではなくなった。幼児がスマホを利用することにより,保護者とのコミュニケーションが減少することは明らかであり,幼児の言語発達に何らかの影響があると推測される。そこで,幼児のスマホ利用と言語発達の関係を明らかにする一連の研究を企画した。
本稿では,そのうち保護者に対する質問紙調査の結果をもとに,幼児期の子どものスマホ利用の状況,子どもがスマホを利用することについての保護者の認識を明らかにしたい。
方 法
調査対象者
茨城県内の保育所,東京都内の幼稚園に子どもを通わせている保護者298名。
手続き
無記名による自記式の質問紙調査を行った。調査時期は2018年8~11月。本研究は、筑波大学医学医療系医の倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:1347)。
結 果
保護者がスマホを利用する頻度と利用内容
スマホの利用頻度を5段階のリッカート尺度で尋ねたところ(5に近い方が「非常によく使う」ことを示す),平均値は4.13(SD=0.90)であった。利用内容は,「写真を撮ったり見る」(92%),「SNSをする」(86%),「ニュースを読む」(81%),「メールをする」(75%)などであった。
ただし,子どもと話しをしている時にスマホを操作する,食事中にスマホを操作すること(5段階のリッカート尺度を使用し、前からM=2.46 (SD=1.01),M=2.15 (SD=0.96))はあまりしていないと保護者は回答していた。
幼児がスマホを利用する頻度と利用内容
幼児期の子どもがスマホを利用する頻度を5段階のリッカート尺度で尋ねたところ,平均値が2.33(SD=1.01)であり,それほど高くなかった。しかし,利用日数を尋ねると,週に5日以上が14%,週に3,4日が16%と週の半分以上の日はスマホをしている子どもが3割もいた。なお,全く使わない子どもは16%しかいなかった。
子どもがスマホで何をしているのかを尋ねたところ(複数回答),「自分たちで撮った写真や動画を見る」(64%),「動画(アニメなど)を見る」(49%),「写真を撮る」(38%),「幼児用の知育アプリで遊ぶ」(24%),「テレビ電話をする」(15%),「大人も利用するゲームをする」(13%)などであった。
子どもはどのような時にスマホをしているのかを尋ねたところ(複数回答),「家族でスマホの画像や動画,音楽を一緒に見るとき」(42%)が最も多く,家族間のコミュニケーションを促進するためのアイテムとしてスマホが利用されていることを確認した一方で,「移動時間や待ち時間など,やることがないとき」(32%),「公共の場などで静かにしてほしいとき」(26%),「保護者が家事などで手が離せないとき」(20%)など,保護者が子どもの相手をできないとき,子どもに時間をつぶさせるときなどに利用していることも明らかになった。また,「子どもが使いたがるとき」(26%)という回答をした人もいた。
幼児がスマホを利用する際のルール
幼児期の子どもがスマホを利用することについて定めているルールを尋ねたところ(複数回答),「特にルールを決めていない」と回答した人は少なかった(3%)。「大人の許可を得てからスマホを利用する」(69%)「利用してもよい時間の長さを決めている(1回○分まで,1日△分までなど)」(39%),「利用してもよい内容(アプリ,サイトなど)を決めている」(34%),「使ってもよい時間帯,いけない時間帯を決めている」(31%)「大人と一緒にスマホを利用するようにしている(子どもだけで使ってはいけない)」(30%)などのルールが設けられていた。
幼児がスマホを利用することに関する保護者の認識
幼児がスマホを利用することに関する意見について,5段階のリッカート尺度でどの程度,賛成するかを尋ねたところ,「幼児期から長時間にわたってスマホを利用すると,将来,スマホ依存につながる」M=4.3(SD=0.85),「子どもがスマホを利用することによって,人と会話をする時間が減る」M=3.9(SD=1.00)であり,子どもがスマホを利用しすぎることによって子どもに悪影響が及ぶ危険を感じていた。ただし,「長時間にわたってスマホを利用することによって,子どもの言葉の発達が遅れる」については,M=3.1(SD=1.11)であり,言語発達にはそれほど影響があると考えていなかった。
付 記
本研究は2018年度電気通信普及財団の助成を受けて行った。
今や,人々の生活にスマートフォン(以下,スマホ)が入り込み,幼児も例外ではなくなった。幼児がスマホを利用することにより,保護者とのコミュニケーションが減少することは明らかであり,幼児の言語発達に何らかの影響があると推測される。そこで,幼児のスマホ利用と言語発達の関係を明らかにする一連の研究を企画した。
本稿では,そのうち保護者に対する質問紙調査の結果をもとに,幼児期の子どものスマホ利用の状況,子どもがスマホを利用することについての保護者の認識を明らかにしたい。
方 法
調査対象者
茨城県内の保育所,東京都内の幼稚園に子どもを通わせている保護者298名。
手続き
無記名による自記式の質問紙調査を行った。調査時期は2018年8~11月。本研究は、筑波大学医学医療系医の倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:1347)。
結 果
保護者がスマホを利用する頻度と利用内容
スマホの利用頻度を5段階のリッカート尺度で尋ねたところ(5に近い方が「非常によく使う」ことを示す),平均値は4.13(SD=0.90)であった。利用内容は,「写真を撮ったり見る」(92%),「SNSをする」(86%),「ニュースを読む」(81%),「メールをする」(75%)などであった。
ただし,子どもと話しをしている時にスマホを操作する,食事中にスマホを操作すること(5段階のリッカート尺度を使用し、前からM=2.46 (SD=1.01),M=2.15 (SD=0.96))はあまりしていないと保護者は回答していた。
幼児がスマホを利用する頻度と利用内容
幼児期の子どもがスマホを利用する頻度を5段階のリッカート尺度で尋ねたところ,平均値が2.33(SD=1.01)であり,それほど高くなかった。しかし,利用日数を尋ねると,週に5日以上が14%,週に3,4日が16%と週の半分以上の日はスマホをしている子どもが3割もいた。なお,全く使わない子どもは16%しかいなかった。
子どもがスマホで何をしているのかを尋ねたところ(複数回答),「自分たちで撮った写真や動画を見る」(64%),「動画(アニメなど)を見る」(49%),「写真を撮る」(38%),「幼児用の知育アプリで遊ぶ」(24%),「テレビ電話をする」(15%),「大人も利用するゲームをする」(13%)などであった。
子どもはどのような時にスマホをしているのかを尋ねたところ(複数回答),「家族でスマホの画像や動画,音楽を一緒に見るとき」(42%)が最も多く,家族間のコミュニケーションを促進するためのアイテムとしてスマホが利用されていることを確認した一方で,「移動時間や待ち時間など,やることがないとき」(32%),「公共の場などで静かにしてほしいとき」(26%),「保護者が家事などで手が離せないとき」(20%)など,保護者が子どもの相手をできないとき,子どもに時間をつぶさせるときなどに利用していることも明らかになった。また,「子どもが使いたがるとき」(26%)という回答をした人もいた。
幼児がスマホを利用する際のルール
幼児期の子どもがスマホを利用することについて定めているルールを尋ねたところ(複数回答),「特にルールを決めていない」と回答した人は少なかった(3%)。「大人の許可を得てからスマホを利用する」(69%)「利用してもよい時間の長さを決めている(1回○分まで,1日△分までなど)」(39%),「利用してもよい内容(アプリ,サイトなど)を決めている」(34%),「使ってもよい時間帯,いけない時間帯を決めている」(31%)「大人と一緒にスマホを利用するようにしている(子どもだけで使ってはいけない)」(30%)などのルールが設けられていた。
幼児がスマホを利用することに関する保護者の認識
幼児がスマホを利用することに関する意見について,5段階のリッカート尺度でどの程度,賛成するかを尋ねたところ,「幼児期から長時間にわたってスマホを利用すると,将来,スマホ依存につながる」M=4.3(SD=0.85),「子どもがスマホを利用することによって,人と会話をする時間が減る」M=3.9(SD=1.00)であり,子どもがスマホを利用しすぎることによって子どもに悪影響が及ぶ危険を感じていた。ただし,「長時間にわたってスマホを利用することによって,子どもの言葉の発達が遅れる」については,M=3.1(SD=1.11)であり,言語発達にはそれほど影響があると考えていなかった。
付 記
本研究は2018年度電気通信普及財団の助成を受けて行った。