[PE01] 大学生のCyber Aggressionと心理的不適応の関連の検討(1)
大学生用Cyber Aggression Scaleの作成
キーワード:Cyber Aggression、尺度構成、大学生
問題と目的
Cyber Aggressionは「SNS,e-mail,チャット・プログラム等,広範囲のインターネット・コミュニケーション技術(ICT)を通じて行われる攻撃行動(Pornari & Wood, 2010)」と定義される。本研究では,大学生用の自記式尺度としてCyber Aggression Scale(CAS)を作成し,その信頼性・妥当性を検討する。尺度作成においては,従来取り上げられてきたCyber Aggressionの内容に加え,虚偽や誇張を含む問題のある自己呈示の項目を加え,より広いCyber Aggressionを測定できるよう留意した。
方 法
調査時期
2018年6月。
調査対象者
茨城県南部の国立大学生205名(文化・人間系30(男11女19), 理科系93(男75,女18), 体育系52(男31,女21, 芸術系・他30(男7女23))。
調査内容
Cyber Aggression Scale (CAS):オリジナルに作成した尺度。海外で開発された既存のCyber Aggressionの尺度(Lee, et al., 2015; Runions, et al.,2017; Shapka, & Maghsoudi, 2017)を参考にSNSやeメール上での攻撃的コミュニケーションと, 虚勢的自己呈示(國吉, 2017)ならびに,自己高揚的な自己呈示(谷口・清水, 2017)から構成される尺度。29項目6件法で回答を求めた。内容は怒りの発信(4), 他者に対する否定的な発信(5), 自己高揚的自己呈示(3)・虚勢的己呈示(3),
特定の人・集団へのからかい・差別(2), 性的な嫌がらせ(3), 逸脱した使用法(9)。全29項目。
大学生用能動的・反応的攻撃性尺度(SPRAS-U)
濱口(2017)の56項目から45項目を使用。反応的攻撃性(易怒性5,怒り持続5,怒り強度4,外責的認知3,報復意図6),能動的攻撃性(攻撃有能感5,他者支配欲求5,欲求固執5,攻撃肯定評価7)。多次元性関係性攻撃尺度(大学生用) 濱口他,(2012)の「関係拒否」, 「陰口」, 「操作」から 8項目を抜粋。敵意攻撃インベントリー 秦(1990)の言語的攻撃尺度を使用。
結果と考察
Cyber Aggression Scaleの構成:分布の極端な19項目を削除し,因子分析(主因子法・プロマックス回転)を繰り返し,スクリー基準により2因子を抽出した(3.24,1.49,1.00,0.61…)。第1因子は,他者に対する怒りや不満を発信する「怒りの発信」と命名された。第2因子は,自分を良く見せるための発信をする「自己顕示」と命名された。因子間相関は.41。信頼性は怒りの発信(5項目)でα=.78,自己顕示(3項目)で.α=.71。怒りの発信で女<男となった(t(198.22)
=3.16, p<.01)。
Cyber Aggression Scaleの併存的妥当性:怒りの発信は,易怒性,報復意図等の反応的攻撃性と言語的攻撃と.30以上に有意相関がみられた。自己顕示は他者支配欲求,欲求固執,関係性攻撃と有意な相関がみられ,妥当性が確認された。
Cyber Aggressionは「SNS,e-mail,チャット・プログラム等,広範囲のインターネット・コミュニケーション技術(ICT)を通じて行われる攻撃行動(Pornari & Wood, 2010)」と定義される。本研究では,大学生用の自記式尺度としてCyber Aggression Scale(CAS)を作成し,その信頼性・妥当性を検討する。尺度作成においては,従来取り上げられてきたCyber Aggressionの内容に加え,虚偽や誇張を含む問題のある自己呈示の項目を加え,より広いCyber Aggressionを測定できるよう留意した。
方 法
調査時期
2018年6月。
調査対象者
茨城県南部の国立大学生205名(文化・人間系30(男11女19), 理科系93(男75,女18), 体育系52(男31,女21, 芸術系・他30(男7女23))。
調査内容
Cyber Aggression Scale (CAS):オリジナルに作成した尺度。海外で開発された既存のCyber Aggressionの尺度(Lee, et al., 2015; Runions, et al.,2017; Shapka, & Maghsoudi, 2017)を参考にSNSやeメール上での攻撃的コミュニケーションと, 虚勢的自己呈示(國吉, 2017)ならびに,自己高揚的な自己呈示(谷口・清水, 2017)から構成される尺度。29項目6件法で回答を求めた。内容は怒りの発信(4), 他者に対する否定的な発信(5), 自己高揚的自己呈示(3)・虚勢的己呈示(3),
特定の人・集団へのからかい・差別(2), 性的な嫌がらせ(3), 逸脱した使用法(9)。全29項目。
大学生用能動的・反応的攻撃性尺度(SPRAS-U)
濱口(2017)の56項目から45項目を使用。反応的攻撃性(易怒性5,怒り持続5,怒り強度4,外責的認知3,報復意図6),能動的攻撃性(攻撃有能感5,他者支配欲求5,欲求固執5,攻撃肯定評価7)。多次元性関係性攻撃尺度(大学生用) 濱口他,(2012)の「関係拒否」, 「陰口」, 「操作」から 8項目を抜粋。敵意攻撃インベントリー 秦(1990)の言語的攻撃尺度を使用。
結果と考察
Cyber Aggression Scaleの構成:分布の極端な19項目を削除し,因子分析(主因子法・プロマックス回転)を繰り返し,スクリー基準により2因子を抽出した(3.24,1.49,1.00,0.61…)。第1因子は,他者に対する怒りや不満を発信する「怒りの発信」と命名された。第2因子は,自分を良く見せるための発信をする「自己顕示」と命名された。因子間相関は.41。信頼性は怒りの発信(5項目)でα=.78,自己顕示(3項目)で.α=.71。怒りの発信で女<男となった(t(198.22)
=3.16, p<.01)。
Cyber Aggression Scaleの併存的妥当性:怒りの発信は,易怒性,報復意図等の反応的攻撃性と言語的攻撃と.30以上に有意相関がみられた。自己顕示は他者支配欲求,欲求固執,関係性攻撃と有意な相関がみられ,妥当性が確認された。