130th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Oral

G-2. sub-Session 02

[2oral601-11] G-2. sub-Session 02

Mon. Sep 18, 2023 8:45 AM - 12:00 PM oral-06 (37-North Wing, Yoshida-South Campus Academic Center Bldg.)

Chiar:Takeshi Yoshida, Yoshitaka Nagahashi, Yoshihiro Takeshita(Shinshu Univ), Masaoki Uno

9:15 AM - 9:30 AM

[G2-O-2] (entry) Relationship between ground characteristics estimated by microtremor observation and Miyanohara fault in Tsunan Town, Niigata Prefecture, Japan

*Nobuyuki NAKAJIMA1, Mamoru KOARAI1, Shigeki SENNA2, Tomoki KANEKO1 (1. Graduate School of Science and Engineering, Ibaraki University, 2. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience)

Keywords:the 2011 Northern Nagano Earthquake, Damage to houses, microtremor observation, Miyanohara Fault

2011年3月12日未明に発生した長野県北部地震(M6.7)では,長野県栄村や新潟県津南町で大きな被害が発生した.栄村の森・青倉・横倉地区では甚大な被害が局所的に集中していた.津南町では栄村に比べて家屋被害はやや軽微であったが,亀岡・大井平集落に位置する宮野原断層周辺で,断層線に沿って地すべり・盛土の重力変形などの集中が見られた(中埜ほか,2013)上,断層の低下側に家屋被害が集中した.中島ほか(2022)では,津南町西部において常時微動観測を行い,信濃川の低位段丘に立地する集落において,全体的にAVS30が大きい上,基盤深度も浅く地盤が良いことや,宮野原断層周辺では,AVS30 が250m/s前後と相対的に小さく,他の津南地域と比べて地盤が悪いことを報告した.これは断層の低下側が軟弱な堆積物が堆積しやすい環境であったことや断層の破砕帯によるものと判断し,断層活動による地形発達過程が家屋被害に影響を与えたと考えられるとした.また,宮野原断層は活断層研究会編(1991)や池田ほか(2002)などでは断層地形とされているが,地すべり地形である可能性についても議論がされている(田力・越後,2022).

以上のことから,本研究では常時微動観測から推定した地盤特性と地震被害の関連を検討するとともに,観測結果から基盤岩や段丘構成層の変位の累積や破砕帯を抽出することで活断層の検出することが可能かどうか検討を行なうために,中島ほか(2022)での28点に追加して産総研(2016)において宮野原断層を横断するように群列ボーリング調査が行われた地点を含む16点で新たに観測を実施した. 観測は長・先名(2016)をもとに,微動アレイ観測を行い,SPAC法及びCCA法による位相速度解析,S波速度構造解析を行なった.本研究では,300m/sを超える深度を工学的基盤深度(以下,基盤深度とする),深度30mまでの平均S波速度をAVS30とする.

産総研(2016)において行われた群列ボーリングと常時微動観測結果を比較するとの礫層の上面のS波速度が300m/sを超える深度と一致した.そこでS波速度が300m/sを超える深度を礫層の上端と推定し,それを基準に断層運動について検討を行なった.宮野原断層での群列観測の結果から,礫層の上面が3つの領域で分けられそれぞれ5m程度の標高差が見られた.北側の標高差は地形的に低断層崖の位置とも一致していることなどから断層によるものと解釈した.また,南側は基盤深度が約20mと極端に深く,S波速度の遅い層が厚く存在した.これは,亀岡の集落を東西に流れる川の侵食作用や堆積作用によるものと考えられる.

AVS30と基盤深度を検討する.中島ほか(2022)において,宮野原断層周辺はAVS30が小さく基盤深度が深いことを報告しているが,今回の観測でも宮野原断層周辺ではAVS30が250〜300m/s程度と地盤が悪い結果となった.また,津南駅周辺で観測を行なった結果,巻下集落ではAVS30が400〜600m/s程度と地盤が良い結果となった.これらは,治水地形分類図では氾濫平野となっており,ローム層等がなく,浅い深度で基盤に到達した結果であると考えられる.

常時微動観測を行うことで軟弱地盤の地域を抽出することが可能となり,地震被害の差異についての議論に用いることができる.また,基盤深度の差から活断層の有無について議論する上で材料となることがいえる.

謝辞 :本研究における常時微動観測は,茨城大学と防災科学技術研究所の共同研究協定に基づき実施した.また,現地調査においては,茨城大学地球・地域環境共創機構(GLEC)と国文学研究資料館の共同研究「歴史資料を用いた減災・気候変動適応に向けた文理融合の研究の深化」,令和5年度苗場山麓ジオパーク学術研究奨励事業からご支援いただいた.記して謝意を表します.

参考文献
長・先名,2016,Synthesiology,9-2,p.86-96.
池田ほか編,2002,第四紀逆断層アトラス.東京大学出版会,254p.
活断層研究会編,1991,新編日本の活断層-分布図と資料-.東京大学出版会,437p.
紺野・片岡,2000,土木学会論文集,No.647/Ⅰ-51,p.415-423.
中埜ほか,2013,国土地理院時報2013,123,p.35-48.
中島ほか,2022,日本地球惑星科学連合2022年大会,SSS12-6.
産業技術総合研究所,2016,平成27年「活断層の補完調査」成果報告書 十日町断層帯.59p.
田力,2022,1:25,000活断層図 十日町断層帯とその周辺「津南」解説書,国土地理院,15p.
田力・越後,2022,活断層研究,56,p.33-46.