[O1-2] 地域在住健常高齢者における摂食嚥下関連筋群の筋力と全身骨格筋量の関連について
【目的】
摂食嚥下関連筋群の筋力は,加齢や四肢骨格筋量の減少と関連していると報告されている。しかし,全身の骨格筋量のうち,体幹の骨格筋量との関係性を調査した報告はない。本研究では,摂食嚥下関連筋群の筋力の指標となる舌圧および開口力と,体幹の筋量との関連を調査したので報告する。
【方法】
対象は本研究の同意を得た65歳以上の地域在住健常高齢者120名(男性38名,女性82名,平均年齢70.7±5.5歳)である。身長,体重,握力,舌圧,開口力,および生体インピーダンス法を用いて全身骨格筋量を測定した。四肢と体幹の骨格筋量を身長で補正した値を算出し,それぞれの骨格筋指数とした。統計解析は,Spearman検定を用いて男女それぞれにおいて,四肢および体幹の骨格筋指数と他項目との関連を検討し,開口力および舌圧を従属変数とした重回帰分析を行った。いずれの解析も有意水準は5%以下とした。
【結果と考察】
体幹の骨格筋指数と相関を認めた項目は,男性は握力,四肢骨格筋指数,開口力,舌圧であった。女性は握力と四肢骨格筋指数に相関を認めたが,開口力,舌圧とは相関を認めなかった。一方,四肢骨格筋指数に関して,男性は開口力,舌圧に相関を認めなかった。女性は開口力にのみ相関を認めた。さらに年齢と性別を調整した結果,舌圧および開口力に対する有意な説明変数はいずれも体幹の骨格筋指数(舌圧:β= 0.305,p= 0.006,開口力:β=0.253,p=0.013)であった。健常高齢者においては,摂食嚥下関連筋群の筋力低下は,加齢や四肢骨格筋量の減少よりも体幹の筋量の減少と関連が強い可能性が明らかとなり,口腔と全身との関連の重要性が示唆された。
摂食嚥下関連筋群の筋力は,加齢や四肢骨格筋量の減少と関連していると報告されている。しかし,全身の骨格筋量のうち,体幹の骨格筋量との関係性を調査した報告はない。本研究では,摂食嚥下関連筋群の筋力の指標となる舌圧および開口力と,体幹の筋量との関連を調査したので報告する。
【方法】
対象は本研究の同意を得た65歳以上の地域在住健常高齢者120名(男性38名,女性82名,平均年齢70.7±5.5歳)である。身長,体重,握力,舌圧,開口力,および生体インピーダンス法を用いて全身骨格筋量を測定した。四肢と体幹の骨格筋量を身長で補正した値を算出し,それぞれの骨格筋指数とした。統計解析は,Spearman検定を用いて男女それぞれにおいて,四肢および体幹の骨格筋指数と他項目との関連を検討し,開口力および舌圧を従属変数とした重回帰分析を行った。いずれの解析も有意水準は5%以下とした。
【結果と考察】
体幹の骨格筋指数と相関を認めた項目は,男性は握力,四肢骨格筋指数,開口力,舌圧であった。女性は握力と四肢骨格筋指数に相関を認めたが,開口力,舌圧とは相関を認めなかった。一方,四肢骨格筋指数に関して,男性は開口力,舌圧に相関を認めなかった。女性は開口力にのみ相関を認めた。さらに年齢と性別を調整した結果,舌圧および開口力に対する有意な説明変数はいずれも体幹の骨格筋指数(舌圧:β= 0.305,p= 0.006,開口力:β=0.253,p=0.013)であった。健常高齢者においては,摂食嚥下関連筋群の筋力低下は,加齢や四肢骨格筋量の減少よりも体幹の筋量の減少と関連が強い可能性が明らかとなり,口腔と全身との関連の重要性が示唆された。