[O一般-011] 当院の定期通院高齢者における口腔機能と骨格筋指数との関連
【目的】口腔機能と心身の状態との関連については、いくつかの報告があるが、具体的な数値を使って客観的な分析を行っている報告は少ない。また、高齢者の介護予防には筋肉量の維持が重要との報告がある。そこで、当院に定期通院中の高齢者の口腔機能と骨格筋指数Skeletal Muscle Mass Index(SMI)との関連を検討することを目的に調査を行った。
【対象と方法】対象は、2018年11月から2019年12月の間に当院に定期通院している高齢者(65歳以上)100例、男性45例、女性55例で、平均年齢は73.8±6.8歳であった。対象者に調査内容を説明し、同意を取得した後、口腔機能精密検査を行った。基礎情報として年齢、性別、Body Mass Index(BMI)、既往歴を聴取し、歩行速度、握力、腹囲を測定、体組成をInbody470(インボディジャパン)にて計測した。分析は口腔機能と運動機能、体組成の相関を検討した。客観的な口腔機能の指標の一つである舌圧に関連する因子を検討するため、口腔機能低下症の基準を用いて(30kPa未満)単変量解析(Mann-Whitney U test、カイ2乗検定)を行った。また全身の骨格筋量の低下は身体機能の低下や障害が指摘されていることから、多変量解析(重回帰分析)にて舌圧とSMIとの関連を検討した。
【結果】年齢、性別を調整した偏相関分析の結果、オーラルディアドコキネシス(ODK)「パ」「タ」と歩行速度およびSMIと舌圧に有意な相関が認められた。舌圧低下の有無に関連する単変量解析では、ODK「パ」「タ」「カ」、歩行速度、BMI、SMIに有意差が認められた。舌圧を従属変数とした多変量解析の結果、年齢、性別、生活習慣病の有無を調整しても、SMIは舌圧と有意な関連が認められた(β=0.330、p=0.014)。
【考察】全身の骨格筋量が低下することは、身体活動制限を引き起こすだけでなく口腔機能低下を招き低栄養につながる可能性がある。また本研究結果では逆の因果も考えられ、低舌圧は咀嚼・嚥下機能に支障をきたし食事摂取量が不足するため、骨格筋量低値につながることも考えられる。健康の維持増進のため適度な運動を行っていくことはもちろん、口腔機能強化をはかることも重要だと考える。
北海道大学大学院歯学研究院倫理審査委員会承認番号 2019第4号
(COI開示:なし)
【対象と方法】対象は、2018年11月から2019年12月の間に当院に定期通院している高齢者(65歳以上)100例、男性45例、女性55例で、平均年齢は73.8±6.8歳であった。対象者に調査内容を説明し、同意を取得した後、口腔機能精密検査を行った。基礎情報として年齢、性別、Body Mass Index(BMI)、既往歴を聴取し、歩行速度、握力、腹囲を測定、体組成をInbody470(インボディジャパン)にて計測した。分析は口腔機能と運動機能、体組成の相関を検討した。客観的な口腔機能の指標の一つである舌圧に関連する因子を検討するため、口腔機能低下症の基準を用いて(30kPa未満)単変量解析(Mann-Whitney U test、カイ2乗検定)を行った。また全身の骨格筋量の低下は身体機能の低下や障害が指摘されていることから、多変量解析(重回帰分析)にて舌圧とSMIとの関連を検討した。
【結果】年齢、性別を調整した偏相関分析の結果、オーラルディアドコキネシス(ODK)「パ」「タ」と歩行速度およびSMIと舌圧に有意な相関が認められた。舌圧低下の有無に関連する単変量解析では、ODK「パ」「タ」「カ」、歩行速度、BMI、SMIに有意差が認められた。舌圧を従属変数とした多変量解析の結果、年齢、性別、生活習慣病の有無を調整しても、SMIは舌圧と有意な関連が認められた(β=0.330、p=0.014)。
【考察】全身の骨格筋量が低下することは、身体活動制限を引き起こすだけでなく口腔機能低下を招き低栄養につながる可能性がある。また本研究結果では逆の因果も考えられ、低舌圧は咀嚼・嚥下機能に支障をきたし食事摂取量が不足するため、骨格筋量低値につながることも考えられる。健康の維持増進のため適度な運動を行っていくことはもちろん、口腔機能強化をはかることも重要だと考える。
北海道大学大学院歯学研究院倫理審査委員会承認番号 2019第4号
(COI開示:なし)