一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会

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教育

[P一般-067] VR画像を用いた歯学部学生における臨床実習の効果について

○仲澤 裕次郎1、田中 公美1、横田 悠里1、佐川 敬一朗1、古屋 裕康1、礒田 友子1、保母 妃美子1、山田 裕之1、戸原 雄1、田村 文誉1,2、菊谷 武1,2,3 (1. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック、2. 日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科、3. 日本歯科大学大学院生命歯学研究科臨床口腔機能学)

【目的】
 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックでは、平成29年度より日本歯科大学生命歯学部の1年生・5年生に対し訪問診療の同行実習を行っている。COVID-19の感染拡大を受け、訪問診療に同行することの感染対策として令和2年度の学生実習では、Virtual Reality (VR)画像を用いた訪問診療の疑似体験(VR実習)を取り入れた。本研究はVR実習が歯学部学生の訪問診療に対する理解度上昇に寄与すると仮定し、検討を行う事を目的とした。
【方法】
 対象は、2020年10月から12月まで当クリニックにてVR実習を受けた日本歯科大学生命歯学部の学生(1年生109名、5年生31名)とした。実習当日は外来診療の見学後VR画像を用いて在宅および病院における訪問診療による摂食機能療法、特別養護老人ホームにおけるミールラウンドの様子を疑似体験させた。実習の前後にアンケート(4択形式9問・感想文)を行い、訪問診療についての理解度を、個人が特定できない状態で評価し検討を行った。統計学的検討はSPSS 27statisticsを用い、実習の前後間での検討にはWilcoxsonの符号付き順位検定を、1年生と5年生間の検討にはMann-WhitneyのU検定を行った。有意水準は共に5%未満とした。
【結果と考察】
 訪問診療についての各質問の回答を、“知らない”=1、“あまり知らない”=2、“少し知っている”=3、“知っている”=4の4件法として回答させた。実習前のアンケート結果を学年間にて比較すると全ての質問で5年生のほうが“知っている”者の割合が高かった。実習の前後において設問毎の点数を比較検討すると全ての質問において、両学年ともに実習前に比べ実習後に“知っている”者の割合が有意に増加した。実習後のアンケートでは学年間で有意な差を認めなかった。実習の前後で理解度が学年に限らず“知っている”者の割合が増加した事から、VR実習を行う事で両学年共に、より具体的に訪問診療について学習できたと考えられる。また学年間の比較結果から、本実習で両学年ともほぼ変わりないレベルへ理解度が増した事が伺える。実習前後の理解度の検討から、VR画像を用いた学生実習の有用性が示唆されたが、例年の同行訪問による教育効果との比較が行えてないため、VR画像による教育効果の有意性には更なる検討が必要である。(COI開示:なし)