第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演) O1群
呼吸・循環管理

2018年6月30日(土) 14:30 〜 15:30 第4会場 (2階 福寿)

座長:伊藤 聡子(神戸市看護大学), 座長:山崎 千草(東京女子医科大学大学院)

[O1-6] 外科系集中治療科におけるHigh‐flow nasal cannula使用による嚥下への影響と評価

中山 誠一, 亀ヶ谷 泰匡, 夛田 覚, 杉山 理恵, 背戸 陽子, 石井 庸介, 梅井 菜央, 市場 晋吾 (日本医科大学付属病院外科系集中治療室)

【目的、背景】近年、High‐flow nasal cannula(以下HFNCとする)は、会話や経口摂取のできる高流量酸素デバイスとして使用されている。先行文献では健常者で嚥下への影響も示唆され、その度合いは送気流量に比例しており、誤嚥に至る患者も存在し、安全性は確立されていないと報告されている。健常者でも嚥下に何らかの影響を及ぼしているとすれば、高流量は更に、嚥下に影響を及ぼし誤嚥を引き起こす可能性が考えられる。そこで、反復唾液嚥下テスト(以下RSSTとする)を評価し、飲み込みづらさのアンケートを5件法での調査と嚥下への影響を評価し考察をする。【方法】対象は2017年11月~2018年1月までの心臓血管外科術後HFNCを使用中、使用後の患者4例に対し、前向きにRSSTの評価と飲み込みづらさを5件法で実施した。従命反応のない患者と術前に嚥下障害のある患者は除外とした。また、統一したRSST評価を実施するため、摂食・嚥下認定看護師指導のもとRSST教育と技術の習得していることを評価者の条件としている。【倫理的配慮】本研究は、所属大学倫理委員会の承認を得た上で実施した。【結果】平均年齢71歳、男性4名、女性0名、術式CABG2例、大血管2例。HFNC使用中RSST陽性となった患者は1例、年齢78歳、挿管時間6060/minストマックチューブ有、HFNC設定40L40%、その他はすべて使用中、使用後共に陰性。HFNC使用中、陰性となった患者は平均年齢66歳、平均挿管時間14632/min、ストマックチューブすべて有り、平均HFNC設定40L41%。アンケート結果はHFNC使用中飲みづらい1例、やや飲みづらい1例、どちらでもない2例、HFNC使用後は鼻カヌラ3~4Lで飲みやすい1例、やや飲みやすい1例どちらでもない2例。【考察】RSST評価陽性となった患者は、陰性の患者と比較してもHFNCの設定流量も大きな差はなく、挿管時間も他の患者よりもむしろ短い。また、脳梗塞などの既往歴もなく、HFNC使用中にはすべての患者に16Frストマックチューブが挿入されている同じ条件下であった。このことから、高齢により、嚥下機能の低下している状態に高流量の酸素投与することにより、嚥下に影響を及ぼした可能性が考えられる。しかしながら、抜管後という条件下は高流量による影響と抜管による嚥下への影響の二つの可能性があることも否定できない。また、アンケートの5件法調査では、HFNC使用中に飲み込みづらさを訴えていた患者は、鼻カヌラで飲み込みやすい方向に感想は変化しており、HFNCが嚥下に影響を及ぼしていることが示唆された。これは高流量が第2相(咽頭相)に影響を及ぼし、のみ込みづらさにつながったのではないかと考える。【結語】今回、症例数は少なかったが、RSSTの評価は陽性となる患者も存在している。今後もHFNC使用症例は増加していくことが予測されるため、誤嚥のないよう看護していく必要があると考える。