[O1-3] ICUにおける人工呼吸器装着患者の身体抑制要因分析
キーワード:ICU、身体抑制、人工呼吸器
【目的】A病院集中治療室では、人工呼吸器装着患者が多く、自己抜管予防のため安全帯を使用した身体抑制を行っている。身体抑制中は毎日、身体抑制の適応の有無、解除計画の評価を行っている。しかし、人工呼吸器離脱に至るまで身体抑制を行う事例が多く、人工呼吸器装着中に身体抑制が解除できた事例は少ない。そこで、身体抑制を解除できた事例を振り返り、身体抑制解除ができる患者背景を明らかにすることが目的である。
【方法】対象は、2019年6月1日から9月30日までのICUでの人工呼吸器装着患者とした。患者カルテより身体抑制解除できた患者を判別し、身体抑制解除できた患者をA群、身体抑制解除できなかった患者をB群とした。
両群の年齢、性別、疾患、診療科、入室時の状況(緊急・定期)、認知症の有無、面会の有無、鎮静剤使用の有無と種類、鎮痛剤使用の有無と種類、JCS、GCS、RASS、CAM-ICU、疼痛の有無、NRS、BPSを調査し、比較した。
調査時点は、A群は身体抑制解除直前とした。そしてA群の身体抑制解除までの時間を調査し、その平均時間をB群の調査時点とした。B群のうち、身体抑制解除までの平均時間よりも人工呼吸器装着時間が短い場合は、人工呼吸器離脱直前を調査時点とした。
年齢、JCS、GCS、RASS、NRS、BPSは結果を平均と標準偏差によって示し、t検定により解析した。入室時の状況、認知症の有無、面会の有無、鎮静剤・鎮痛剤使用の有無、CAM-ICU、疼痛の有無はカイ二乗検定により解析した。統計結果はP<0.05をもって有意差ありと判定した。
この研究を行うにあたり、看護部倫理審査会の承認を得た。また本研究で得られた患者情報、データは匿名化した上で厳重に管理し、目的以外に使用しない。
【結果】対象数は158名、うちA群12名、B群146名であった。
年齢はA群63.8±15.6歳、B群72.9±12.2歳。面会の有無は、面会有りがA群12名、B群94名。RASSはA群-0.36±0.51、B群-1.25±1.48。CAM-ICUはA群で陽性1名、陰性11名、B群で陽性79名、陰性45名、測定不可14名。この年齢、面会の有無、RASS、CAM-ICUで有意差を認め、身体抑制解除ができる患者背景に有意に関係していた。
性別、入室時の状況、認知症の有無、鎮静剤使用の有無、鎮痛剤使用の有無、JCS、GCS、疼痛の有無、NRS、BPSでは有意差を認めなかった。
また、入室時の状況は、A群で緊急10名(83%)、B群で緊急88名(60%)であった。そして、定期手術による人工呼吸器装着患者は60名、そのうち24時間以内に人工呼吸器離脱できた患者は46名であり、全てB群に含まれた。
【考察】ICU患者におけるせん妄は、他の重要臓器障害と同様に急性発症する脳の機能障害であり、その発症率は80%以上という報告もある。そして、せん妄の準備因子には高齢があり、70歳以上であることは特にリスクの高い因子である。今回の調査では年齢、CAM-ICUにおいて有意差を認めており、せん妄の準備因子が少なく、せん妄がない状態が身体抑制解除につながると考える。
そして、RASSによる鎮静レベルが浅い方が有意に身体抑制解除できていることは、A群で緊急入室が多い場合でも、現状の理解や、気管チューブの理解につながったことが要因として考えられる。また面会の有無で有意差を認めた結果も、面会による現状把握の効果が考えられる。
入室時の状況で有意差を認めなかったが、定期手術における24時間以内の人工呼吸器離脱患者において身体抑制解除できた事例はなく、人工呼吸器離脱まで身体抑制が行われていたことが明らかになった。定期手術患者は事前に人工呼吸器装着の説明を受けているため、身体抑制解除につながるよう今後の介入が必要であると考える。
【方法】対象は、2019年6月1日から9月30日までのICUでの人工呼吸器装着患者とした。患者カルテより身体抑制解除できた患者を判別し、身体抑制解除できた患者をA群、身体抑制解除できなかった患者をB群とした。
両群の年齢、性別、疾患、診療科、入室時の状況(緊急・定期)、認知症の有無、面会の有無、鎮静剤使用の有無と種類、鎮痛剤使用の有無と種類、JCS、GCS、RASS、CAM-ICU、疼痛の有無、NRS、BPSを調査し、比較した。
調査時点は、A群は身体抑制解除直前とした。そしてA群の身体抑制解除までの時間を調査し、その平均時間をB群の調査時点とした。B群のうち、身体抑制解除までの平均時間よりも人工呼吸器装着時間が短い場合は、人工呼吸器離脱直前を調査時点とした。
年齢、JCS、GCS、RASS、NRS、BPSは結果を平均と標準偏差によって示し、t検定により解析した。入室時の状況、認知症の有無、面会の有無、鎮静剤・鎮痛剤使用の有無、CAM-ICU、疼痛の有無はカイ二乗検定により解析した。統計結果はP<0.05をもって有意差ありと判定した。
この研究を行うにあたり、看護部倫理審査会の承認を得た。また本研究で得られた患者情報、データは匿名化した上で厳重に管理し、目的以外に使用しない。
【結果】対象数は158名、うちA群12名、B群146名であった。
年齢はA群63.8±15.6歳、B群72.9±12.2歳。面会の有無は、面会有りがA群12名、B群94名。RASSはA群-0.36±0.51、B群-1.25±1.48。CAM-ICUはA群で陽性1名、陰性11名、B群で陽性79名、陰性45名、測定不可14名。この年齢、面会の有無、RASS、CAM-ICUで有意差を認め、身体抑制解除ができる患者背景に有意に関係していた。
性別、入室時の状況、認知症の有無、鎮静剤使用の有無、鎮痛剤使用の有無、JCS、GCS、疼痛の有無、NRS、BPSでは有意差を認めなかった。
また、入室時の状況は、A群で緊急10名(83%)、B群で緊急88名(60%)であった。そして、定期手術による人工呼吸器装着患者は60名、そのうち24時間以内に人工呼吸器離脱できた患者は46名であり、全てB群に含まれた。
【考察】ICU患者におけるせん妄は、他の重要臓器障害と同様に急性発症する脳の機能障害であり、その発症率は80%以上という報告もある。そして、せん妄の準備因子には高齢があり、70歳以上であることは特にリスクの高い因子である。今回の調査では年齢、CAM-ICUにおいて有意差を認めており、せん妄の準備因子が少なく、せん妄がない状態が身体抑制解除につながると考える。
そして、RASSによる鎮静レベルが浅い方が有意に身体抑制解除できていることは、A群で緊急入室が多い場合でも、現状の理解や、気管チューブの理解につながったことが要因として考えられる。また面会の有無で有意差を認めた結果も、面会による現状把握の効果が考えられる。
入室時の状況で有意差を認めなかったが、定期手術における24時間以内の人工呼吸器離脱患者において身体抑制解除できた事例はなく、人工呼吸器離脱まで身体抑制が行われていたことが明らかになった。定期手術患者は事前に人工呼吸器装着の説明を受けているため、身体抑制解除につながるよう今後の介入が必要であると考える。