[O10-4] 救急外来でのフローチャートを活用した帰宅支援の評価
キーワード:帰宅支援、フローチャート
【はじめに】
救急搬送後に帰宅する患者は、「帰宅後のADL低下」「要介護状態」「30日以内の死亡」「予定外の入院」「救急外来への再受診リスク」が高く、救急外来における帰宅時の患者支援のニーズが高まっている。そこで、救急外来看護師が帰宅患者の生活状況を短時間でアセスメントすることができ、院内外の多職種と連携し統一した支援を行うことを目的にフローチャートを作成し、救急搬送された患者の帰宅支援を開始した。
【目的】
フローチャートを活用した帰宅支援によって、救急外来看護師の行動変化や帰宅患者の地域への情報提供数に変化があったか検討する。
【倫理的配慮】
本研究は対象施設臨床研究審査委員会の承認を得た。
【方法】
フローチャートは、先行研究を基に院内の救急外来看護師、救急科医師、医療ソーシャルワーカー(以下MSWとする)で作成した。フローチャートは、救急搬送され平日時間内に帰宅可能となった20歳以上の患者について「ADL」「認知機能」「生活支援者」「生活支援力」「担当ケアマネージャーの有無」の5つの視点で評価し、最終的に支援レベル1~4に分けられるものとした。支援レベル4は基本的に介入不要とした。支援レベル3は、救急外来看護師が地域包括支援センターのパンフレットを活用した帰宅指導を行った。支援レベル1・2は、救急外来看護師からMSWに介入依頼をし、MSWの面談後に地域のケアマネージャーや地域包括支援センターへの情報提供を行う運用とした。フローチャートは、電子カルテ内で展開できるシステムの構築を依頼し、情報を院内でリアルタイムに共有できるようにハード面の整備を行った。また、地域の関連施設への広報活動を積極的に行いスムーズな運用を目指した。本研究は、救急外来看護師のフローチャートの記載率・地域への情報提供数を算出し帰宅支援の評価を行う。
【結果】
帰宅支援開始後(2019年7月1日~11月30日)、帰宅患者131名に対して看護師のフローチャート記載件数は101件(77%)であった。支援レベル別の内訳は、支援レベル1が6名(5.8%)、支援レベル2が6名(5.8%)、支援レベル3が19名(18.4%)、支援レベル4が72名(69.9%)で、支援レベル1・2の患者12名に対してのSW介入件数は11件(91.6%)であった。既に社会資源が導入されている支援レベル3の症例も含めて16名の患者の情報を地域につなげることができた。また、フローチャート活用によって、救急外来看護師が帰宅患者の生活状況をアセスメントし記録として残せるようになった。
【考察】
救急医療の現場では、限られたマンパワーのなかで重症な患者のケアが優先されることや、継続的な治療やケアが困難なため患者との信頼関係が構築しづらいこと等から、救急外来から帰宅する患者に対して看護師が十分な対応ができていないとの指摘がある。A病院救急外来においても、こうしたことが原因で帰宅患者への介入は全くできていない現状があった。しかし、帰宅支援フローチャートを作成し運用方法のルール作りをしたことで、限られたマンパワーのなかでも帰宅後の生活困難に関するアセスメントが容易となり、看護師の経験値に影響されない一定基準の帰宅支援を行うことが可能となった。今後の課題は、フローチャート活用率の向上、MSWが滞在していない時間外の帰宅支援ができるための環境整備、などがあげられる。
【結論】
救急外来で帰宅支援フローチャートを活用したことで、看護師が短時間で一定基準のアセスメントが行えるようになり、帰宅後に問題を抱える患者の情報を多職種と連携し地域につなげることが可能となった。
救急搬送後に帰宅する患者は、「帰宅後のADL低下」「要介護状態」「30日以内の死亡」「予定外の入院」「救急外来への再受診リスク」が高く、救急外来における帰宅時の患者支援のニーズが高まっている。そこで、救急外来看護師が帰宅患者の生活状況を短時間でアセスメントすることができ、院内外の多職種と連携し統一した支援を行うことを目的にフローチャートを作成し、救急搬送された患者の帰宅支援を開始した。
【目的】
フローチャートを活用した帰宅支援によって、救急外来看護師の行動変化や帰宅患者の地域への情報提供数に変化があったか検討する。
【倫理的配慮】
本研究は対象施設臨床研究審査委員会の承認を得た。
【方法】
フローチャートは、先行研究を基に院内の救急外来看護師、救急科医師、医療ソーシャルワーカー(以下MSWとする)で作成した。フローチャートは、救急搬送され平日時間内に帰宅可能となった20歳以上の患者について「ADL」「認知機能」「生活支援者」「生活支援力」「担当ケアマネージャーの有無」の5つの視点で評価し、最終的に支援レベル1~4に分けられるものとした。支援レベル4は基本的に介入不要とした。支援レベル3は、救急外来看護師が地域包括支援センターのパンフレットを活用した帰宅指導を行った。支援レベル1・2は、救急外来看護師からMSWに介入依頼をし、MSWの面談後に地域のケアマネージャーや地域包括支援センターへの情報提供を行う運用とした。フローチャートは、電子カルテ内で展開できるシステムの構築を依頼し、情報を院内でリアルタイムに共有できるようにハード面の整備を行った。また、地域の関連施設への広報活動を積極的に行いスムーズな運用を目指した。本研究は、救急外来看護師のフローチャートの記載率・地域への情報提供数を算出し帰宅支援の評価を行う。
【結果】
帰宅支援開始後(2019年7月1日~11月30日)、帰宅患者131名に対して看護師のフローチャート記載件数は101件(77%)であった。支援レベル別の内訳は、支援レベル1が6名(5.8%)、支援レベル2が6名(5.8%)、支援レベル3が19名(18.4%)、支援レベル4が72名(69.9%)で、支援レベル1・2の患者12名に対してのSW介入件数は11件(91.6%)であった。既に社会資源が導入されている支援レベル3の症例も含めて16名の患者の情報を地域につなげることができた。また、フローチャート活用によって、救急外来看護師が帰宅患者の生活状況をアセスメントし記録として残せるようになった。
【考察】
救急医療の現場では、限られたマンパワーのなかで重症な患者のケアが優先されることや、継続的な治療やケアが困難なため患者との信頼関係が構築しづらいこと等から、救急外来から帰宅する患者に対して看護師が十分な対応ができていないとの指摘がある。A病院救急外来においても、こうしたことが原因で帰宅患者への介入は全くできていない現状があった。しかし、帰宅支援フローチャートを作成し運用方法のルール作りをしたことで、限られたマンパワーのなかでも帰宅後の生活困難に関するアセスメントが容易となり、看護師の経験値に影響されない一定基準の帰宅支援を行うことが可能となった。今後の課題は、フローチャート活用率の向上、MSWが滞在していない時間外の帰宅支援ができるための環境整備、などがあげられる。
【結論】
救急外来で帰宅支援フローチャートを活用したことで、看護師が短時間で一定基準のアセスメントが行えるようになり、帰宅後に問題を抱える患者の情報を多職種と連携し地域につなげることが可能となった。