第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

ワークショップ

09-2:異分野・異業種連携

ワークショップ5:The “もしバナ” サーカス! ~もしバナゲーム™️体験と対話のスペース~

2024年7月20日(土) 13:10 〜 14:40 第10会場 (会議室105)

座長:荒金 英樹(愛生会山科病院)、大森 泉(甲府共立病院)

13:10 〜 13:30

[WS5-1] もしバナゲーム体験 - 喪失への没入と対話が接続する未来 -

*大川 薫1 (1. 亀田総合病院)

1998年 福井医科大学卒業.
1998年 横浜市立大学医学部附属病院 初期研修医. 2000年 城南福祉医療協会大田病院 総合内科 後期研修医, 2003年 医療法人鉄蕉会亀田総合病院 家庭医診療科レジデント, 2006年 同 在宅診療科, 現在に至る.
2015年 一般社団法人iACP (Initiatives of Alturuism and Compassion for a better Place ) 理事.
もしバナゲーム は『余命半年だとしたらあなたが大切にしたいことは何ですか』という前提で遊ぶカードゲームです. 35枚のカードには死に直面したときに多くの人が大切にしたいと思うことが短い言葉で書かれています. 残り1枚はワイルドカードで, 合計36枚からなっています.
オススメの遊び方は4人1組のものです. ルールに従って自分が大切にしたいことが書かれているカードを選んでいきます. 続いて, そのカードを選んだ理由やそのプロセスを他のプレイヤーと共に語り合います. 研修会場だけでなくキャンプ場・居酒屋で家族・友人・ママ友となど, どこで誰とプレイしたとしても没入感とオープンネスが混在した振り返りの時が訪れます. 自分ごと他人ごとの両面から「喪失」を想起し, 価値観・信念の多様性とそのゆらぎに気づくゲーム体験になります.
アドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)の地域啓発に一緒に取り組んでいた同僚とともに, 2015年一般社団法人iACPを設立, もしバナゲームをリリースしました. 以来, 様々な場所で多様なレイヤーにこのゲーム体験を提供し続けています.
しかし, 当初の目的だったACPのきっかけとしての役割は, 現在では手放しつつあります. 人生会議はムリ強いするものではありませんし, やりたくない人とは「ゲーム」そのものが成立しないからです.
ゲーム中に語られること, そして語られないことにさえも耳を澄まし想いをはせる. それが, 他者を自己に投影することや自らとの出会い直しに繋がる. このような体験が, 「喪失」を分かち合うための間接的アプローチになっているのかもしれませんし, それぞれのコミュニティに何らかのポジティヴなスペースを生み出しているように感じています.
講演ではゲームの設計思想と遊び方のコツをお伝えします。
(カテゴリーV)