第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

教育講演

04-1:人材育成・教育

教育講演5:患者の日常生活から学ぶ珠玉のサイエンス:在宅医療スキルアップのための研究のすすめ

2024年7月20日(土) 11:45 〜 12:45 教育講演 (オンデマンド配信)

座長:洪 英在(東員病院)

11:45 〜 12:45

[EL5-1] 患者の日常生活から学ぶ珠玉のサイエンス:在宅医療スキルアップのための研究のすすめ

*黒岩 義之1 (1. 医療法人社団和啓会メデイクスクリニック溝の口/横浜市大名誉教授/財務省健康管理医/帝京大学溝口病院脳卒中センター長)

1973年9月 東京大学医学部医学科卒
1992年8月 横浜市立大学神経内科学講座主任教授
2012年4月 帝京大学医学部附属溝口病院客員教授・脳卒中センター長
2014年4月 財務省診療所長
2020年4月 医療法人社団和啓会メディクスクリニック溝の口
医道とは病める人への無限の愛情であり、それを実践する一つの形が在宅医療である。私は医療の普遍的原点を学ぶため、4年前にこの世界に飛び込んだ。私自身が診た訪問患者数は325名(在宅75、施設250)。キャリアとは単に知識や技術の獲得でなく、自身の生き方を磨いていくプロセスである(厚労省)。EBM(根拠に基づく医療)には患者の価値観・期待も含まれる(厚労省)。患者の訴えの真実を知り、科学的な理解の基に接すれば、患者は最も良い先生となる(冲中重雄)。虚心坦懐に接する以外に道はなく、未知に挑む姿勢が公正かつ自分に厳しい医療人に成長させる。医療人のキャリアは患者から学び続け、何が本当かを見つけるトレーニングだ(スキルアップのための研究の薦め)。人には発見欲がある。診療現場に科学のアンテナを張って、感覚を研ぎ覚ますことは診療の質を向上させ、医療ミスを防ぐ。思いつく閃き、新しい発見はサプライズ。発見を夢見る情熱は若い活力に受け継ごう。新しい発見には真理に対する謙虚さが肝要である。私が最も大切にしている誇りは、自分が無知であるということだ(クロードベルナール)。この言葉はソクラテスの「無知の知」、老子の「無は中身のいっぱい詰まった無」と通じる。4年間に私が患者から学んだ新たな発見、フレイル(サルコペニア) のサイエンス、低気圧の自律神経系への影響(急性心不全)、認知症患者の内受容感覚(疲労感)の低下と避難行動の欠如、パーキンソン病の不安は右大脳半球(情動の優位半球)に由来する、最近多い仙髄領域の帯状疱疹などについて語りたい。一生勉強、一生燃焼、一生不悟である。私が新しい発見に成功する秘訣は私の師匠(豊倉康夫)の教えである(びっくりすることを一度見たら、頭の隅に置け。二度見たら、しっかり頭の中に記憶せよ。三度見たら、只事ではない)。本発表では日本医学会連合倫理委員会の方針に沿う対応をとった。