第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

シンポジウム

04-1:人材育成・教育

シンポジウム7:24時間対応の工夫 ~在宅ならではの空気感をどのようにシェアし、教育に組み入れているか~

2024年7月20日(土) 10:10 〜 11:40 第5会場 (会議室302)

座長:洪 英在(東員病院)

11:00 〜 11:20

[S7-3] 24時間対応の工夫:訪問看護の立場から

*吉江 悟1,2,3,4,5 (1. 訪問看護ステーションビュートゾルフ柏、2. 一般社団法人Neighborhood Care、3. 東京大学高齢社会総合研究機構、4. 筑波大学ヘルスサービス開発研究センター、5. 慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室)

2002年東京大学医学部健康科学・看護学科卒。看護師、保健師。虎の門病院、東京大学生命・医療倫理教育研究センター、同医学部在宅医療学拠点、同高齢社会総合研究機構などを経て2015年に一般社団法人Neighborhood Careを設立、日本で初めてのビュートゾルフチームであるビュートゾルフ柏を開始。柏市地域支えあい推進員(生活支援コーディネーター)、千葉県看護協会理事、東京都介護支援専門員研究協議会理事、一般社団法人Vehicle for Nurses共同代表理事ほか。
訪問看護ステーションにおける24時間対応については、令和6年診療報酬/介護報酬同時改定において、業務負担軽減の取り組みを行っている場合にそれを評価する形の改定が行われた。医療従事者の働き方改革の文脈において、業務負担の軽減と対応の質の担保の両立が求められている。
 しかしその一方で、全国の訪問看護ステーションにおいて、主に24時間対応を支える看護職は常勤換算平均5.5名であり(厚生労働省令和4年度介護サービス施設・事業所調査より)、このうち全員が夜間等の電話当番を担えるわけではないと考えると、依然多くの事業所では少数の人員により24時間対応が支えられている実態も垣間見える。
 演者の属する事業所は、利用者数100名強、月訪問回数1,000回強、グループホーム・デイサービスとの連携契約数ヶ所、疾患分布については要介護高齢者中心と、大きな特徴のない事業所かと思われる。看護師は実人数15人、常勤換算数8人程度で、子育て中の看護師が過半数を占めるため、夜間休日に出動が難しい職員も少なくない。
 当事業所における24時間対応の工夫としては、(1) クラウド型記録システムの導入、(2) クラウド型ビジネスフォン(PBX)の導入、(3) 在籍型出向契約による事業所・法人を超えた電話当番の一元化、(4) 手当の増額による担当者への具体的還元(将来的には待機時間も勤務扱いとできることが理想)、(5) 電話当番する人/しない人を二分せず常にチーム全員に関わる問題として扱うこと、などの試行錯誤を続けている。
 今後、業務負担の軽減と対応の質の担保の両立をいっそう推進するためには、(a) 在宅で治療し得る病態に対する対応フローの標準化(例:夜間に確認された肺炎・尿路感染への対応など)、(b) 法人・事業所・サービス種別を超えた地域単位の応需体制の検討、などが重要と考える。