第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

一般演題(口演)

11-1:保険制度・診療報酬

一般演題(口演)7 保険制度・医療制度

2024年7月20日(土) 14:50 〜 15:30 第8会場 (会議室103)

座長:田城 孝雄(放送大学大学院)

15:20 〜 15:30

[O-1-30] 保険請求業務に薬剤師が関与することの考察

*能勢 悠介1、宮本 雄気1,2、板舛 笑果1、山下 歩1、西井 賢俊1、林 佑哉1、武藤 英貴1、藤谷 好紀1、柳澤 克哉1、菅原 信行1、田中 裕子1、山田 寿美1、守上 佳樹1 (1. 医療法人双樹会よしき往診クリニック、2. 京都府立医科大学 救急医療学教室)

【目的】病院・診療所経営において診療報酬業務は多大な医療リソースが割かれる。筆者は医療専門知識をもつ薬剤師がレセプト点検業務(以下点検)の一部を行うことで、効率的な業務分担や査定による減収の防止に寄与しているのではないかと考えた。よしき往診クリニック(以下当院)では薬剤師が点検の一部を担っており、レセプト査定(以下査定)による減収金額割合が薬剤師介入前後で異なっているか検討した。【方法】事務員による点検を行っていた2019年1月~2020年12月までと、薬剤師による点検を開始した2021年1月~2022年12月までを比較し、査定による減収金額が薬剤師介入前後で異なっているか検討した。発表にあたり、患者の個⼈情報とプライバシーの保護に配慮し、家族から書⾯にて同意を得た。【結果】2019年1月から2020年12月までの収益に対する減収の割合平均は0.06%、2021年1月から2022年12月までの収益に対する減収の割合は0.10%と薬剤師が介入することで減収割合が増加する結果となった。【考察】今回薬剤師が点検を行うことで、査定の減収の削減に寄与しているというデータは得られなかった。これは2個病名が必要な高額な薬剤に関しての病名漏れ、1日量制限がある薬剤の過剰な処方の要因が関係していると考えられる。高額な医薬品の査定に関しては再審査請求において再度認められる例もあった。在宅支援診療所薬剤師はこれらの処方にあたり、保険審査上注意が必要な薬剤に関しての医師への啓蒙、各都道府県で異なる保険審査の基準の情報共有を在宅支援診療所薬剤師同士で行うなどにより減収の削減に寄与できるのではと考える。 今後医療専門知識を持つ薬剤師による点検の可能性として事務員の負担軽減、ひと月のレセプトにおける業務時間の削減に寄与している可能性もあり、今後さらに事務員としての薬剤師の有用性を示す研究が待たれる。