第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

一般演題(ポスター)

14-1:臓器不全

一般演題(ポスター)臓器不全2

2024年7月20日(土) 13:55 〜 14:25 ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:渡辺 剛(渡辺緩和ケア・在宅クリニック)

14:05 〜 14:10

[P-1-140] 腹膜透析における地域包括ケアと緩和ケアの実践
    ~開業後7年間の軌跡~

*楠本 拓生1、岩本 由貴1、齋藤 美幸1、仲野 真由美1、江藤 奈美1、桑原 佳子1、中村 健吾1、東 桂史1 (1. 医療法人楠本内科医院)

【はじめに】
日本における80歳以上の高齢透析患者数は、2021年12月末時点で77,871人に上り、全透析患者の約23.1%を占めています。高齢者は血液透析(HD)において週3回の通院、血圧低下、倦怠感、シャント機能不全、穿刺痛など多くの苦痛を伴い、透析によるQOLの改善は難しい状況です。これに対し、腹膜透析(PD)は通院の負担を軽減し、在宅での管理を可能とすることで、社会的入院の回避や自然な死を迎えることができるメリットがあります。
【活動】
2016年より当院ではPDの導入を開始し、現在は平均年齢83.4歳の7名の高齢PD患者を管理しています。療法の選択時には、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)およびSDM(共同意思決定)を多職種チームで行い、患者の望むより良い最期をサポートしています。PDを選択された場合は状況に応じて通院から訪問診療へのタイムリーな移行を支援し、訪問看護師やケアマネジャーを中心に地域の多職種と連携を深めています。更にデイサービス、有料老人ホーム、後方支援病院、入院対応可能なHDクリニックとも施設連携することで最期までPDを継続し、住み慣れた地域で穏やかな終末期を過ごすことが可能となっています。
【考察】
高齢者におけるPDの利点は多いものの、自己管理が困難なケースでは、アシストPDの整備が不可欠です。しかし、全国的に見るとアシストPDの体制はまだ十分ではなく、多くの患者が医学的にはPDを続けることが可能であるにも関わらず、社会的背景からHDへの移行を余儀なくされています。今後は、PDの持続可能性を高めるためにも、地域ごとの体制強化が求められます。本研究では参加者のプライバシー保護とデータの匿名化を徹底しました。