第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

特別講演

07-1:多職種連携

特別講演4:医療的ケアの必要な子供たちに宿る意思をつないで ~他機関・多職種連携で就学・就労をかなえた事例~

2024年7月21日(日) 09:40 〜 10:40 第3会場 (会議室201)

座長:小野 宏志(坂の上ファミリークリニック)

09:40 〜 10:40

[SL4-1] 医療的ケアの必要な子供たちに宿る意思をつないで ~他機関・多職種連携で就学・就労をかなえた事例~

*野崎 加世子1 (1. 日本訪問看護認定・在宅看護師協議会 監事)

野崎 加世子(のざき かよこ)  岐阜県郡上市八幡町生まれ略歴1979年 4月  岐阜市民病院入職(小児科・未熟児センター・内科・精神科)1994年 4月  岐阜県看護協会 高山訪問看護ステーション入職・(管理者)2023年 3月  岐阜県看護協会立訪問看護ステーション高山、サテライト事業所ケアプランセンター高山、ナーシングデイ高山  定年退職2023年 4月  これからの在宅医療・看護・介護を考える会   (ボランティア団体立ち上げ 代表)2023年 6月  医療法人 岩砂マタニティ・岩砂病院 顧問看護師(現在勤務中)2023年 9月  飛騨市健康福祉部地域生活安全支援センター 顧問看護師(兼務) 資格1979年 4月  看護師1994年10月  救命救急士1999年 8月  介護支援専門員 2006年 7月  日本看護協会認定・訪問看護認定看護師2021年10月  防災士2022年 6月  特定行為研修終了(栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連)
日本は、少子高齢化社会を迎え、住み慣れた地域で最期まで暮らし続けることのできる社会を目指している。土台となる考え方は、治らない疾病や障害を抱えても、「本人の選択と本人、家族の心がまえ」、いわゆる本人の意思決定をどう支えるかが重要であるとうたっている。それを支えるためには、小児から高齢者までの在宅療養者にしっかりと向き合い、支えることのできる訪問看護の果たす役割は大きい。筆者は、長く障がい児・者ならびに医療的ケア児の訪問看護に携わってきたが、その時々で本人が希望しても家族の意向が優先され、自宅での療養生活が叶わず入院したままで人生の最期を迎えたり、母親の不安が強く、自宅で家族と共に生活することが困難になり施設入所になった子供など、もっと訪問看護師や医師を始め在宅のチームで検討し支援することができたのではないかと振り返り、反省することが多くある。特に、超重症児や準超重症児、医療的ケアを必要とする子供自身やご家族も、住み慣れた地域で安心して療育生活を継続していきたいと願っている。しかし、現実には、子供やその家族に危機が出現した時や、生活スタイルの変換期等、その時々の不安や負担に対して、個々の職種や機関が単独で機能しては十分な支援や環境が整わず、希望どおりの療養生活が難しくなりゃすい。それを実現するためには、医療・介護はもちろん、行政福祉課や保健師・教育委員会、特別支援学校などの教育機関・障がい児支援センター・近隣住民やボランティア等、高齢者とは異なる方々達とチームで支えていく必要がある。今回、筆者は、「お兄ちゃんと一緒に普通学校に行きたい」「私も普通の人と同じように働きたい」との思いを持った子供達について紹介する。2人の意思決定支援の実践を通して、医療的ケアの必要な子供に寄り添い支え、多職種とのきめ細やかな連携を行ったことにより、本人の望む希望が実現へと結びついた取り組みである。症例については倫理的配慮を行った。