第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

シンポジウム

18-1:食支援・口腔嚥下

シンポジウム48:独居認知症患者の食支援

2024年7月21日(日) 14:20 〜 15:50 第5会場 (会議室302)

座長:中村 幸伸(つばさクリニック岡山)、熊谷 琴美(愛知学院大学健康科学部)

15:30 〜 15:50

[S48-4] 訪問看護師による独居認知症患者の食支援の実際

*髙砂 裕子1 (1. (一社)南区医師会訪問看護ステーション)

1982年京都第一赤十字看護専門学校卒業、2006年愛媛大学大学院医学系研究科看護学専攻地域・老人看護修士課程修了。1982年京都第一赤十字病院、1995年南区医師会南区メディカルセンター訪問看護ステーションの開設と共に管理者、2000年居宅介護支援センター管理者、2015年横浜市在宅医療拠点事業 南区在宅医療相談室相談員。2009年全国訪問看護事業協会理事、2014年常務理事、2020年副会長。日本在宅医療連合学会評議員。
訪問看護の利用者は、約94.5万人1)であり、訪問看護の利用者の約7割が認知症を認める方である。また、独居の方や高齢者世帯の利用者も増加傾向を認める。訪問看護での食支援は、訪問看護師が訪問看護でケアとして提供する支援と管理栄養士やST、医師、歯科医師など多職種への情報提供や相談、調整などの連携や協働による支援である。利用者にとって食べることは、生きることであり、楽しみでもあり人間の尊厳を守ることに繋がる。認知症状を認めても、利用者が食べたい食事を食べられるよう支援することを目標としている。
認知症であり独居の生活をしている利用者の生き様を受け入れ時間をかけ、利用者の気持ちや考えに傾聴することにより、自身の生きづらさや、食事に関する考えなどを徐々に自ら話し出す伴奏型の訪問看護を実践している。
一方、訪問看護では、食べることに関する1.医学的視点によるアセスメント①食べる意欲・②全身状態・③呼吸状態・④口腔状態、2.摂食嚥下の機能的視点では、⑤認知機能・⑥咀嚼・送り込み、⑦嚥下、3.姿勢・活動的視点では、⑧姿勢・耐久性・⑨食事動作・⑩活動、4.摂食状況・食物形態・栄養的視点2)を実施している。評価等は、訪問看護師自身が行う場合と管理栄養士など多職種への相談による場合があるが、地域により管理栄養士などへの相談が困難な状況もあり、当事業所では、教育現場の管理栄養士に相談できる機会を設けている。
また、訪問介護のスタッフが利用者の嗜好を上手に聞き、食事形態などの意見交換を行い少しでも安全に食事ができる環境を連携により実践している。認知症や主疾患の状態により倫理的な配慮に悩む場合もあり、多職種との協働による食支援の実際を紹介する。1)厚生労働省統計情報部:令和3年介護サービス施設・事業所調査、2)小山珠美編:口から食べる幸せをサポートする包括的スキル,医学書院