第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

ポスター

04-1:人材育成・教育

一般演題(ポスター)人材育成・教育

2024年7月21日(日) 09:25 〜 10:00 ポスター会場1 (コンベンションホールA)

座長:長崎 修二(在宅サポートながさきクリニック)

09:30 〜 09:35

[P-2-2] 当法人における初期研修医に対する地域医療研修効果

*小林 あかり1 (1. 医療法人社団そよかぜ)

【はじめに】
当法人は慢性疾患の管理を中心とした外来診療と、24時間365日体制での在宅医療を両立するハイブリッド型の診療所を運営し、幅広い地域医療を行っている。学生教育にも力を入れ、神戸大学医学部附属病院の地域医療研修として令和2年からの開始4年間で計25名の初期研修医を受け入れた。これまでの研修医への教育効果を検討する。
【活動】
研修を終えた研修医から体験記が提出される。今回は全25名の体験記に出現した話題をカテゴライズし、当法人での研修が研修医にどのような印象や影響をもたらしたかを分析した。
最も多かったのは「疾病だけでなく人や生活を診ること」に関する話題や考えであり、76%に当たる19名が挙げた。次いで「手技の上達」(17名) 「チーム医療」(8名)「患者との近さ」(8名)に関する話題が多かった。そのほか「在宅での看取り」(7名)「地域医療の在り方や役割」(7名)についての話題と続いた。
【考察】
大病院で診察を行う研修医にとって患家を訪問し生活環境、家族構成、人間関係などを鑑みた上での診察は新鮮で珍しく、新たな視点を発見する機会となっている。在宅医療の大切さや奥深さ、そしてその醍醐味を肌で感じることは、未来の在宅医療や地域医療を担う医師の学びや興味へと繋がると考える。また、エコー検査を経験し上達を実感できる環境は、多くの研修医に達成感と充実感を与えている。患者を自宅に帰した後のサービスやサポートの幅広さに初めて気付いたという声もあった。様々な職種が情報共有し連携して支え合う現場の姿は、チーム医療への期待と信頼を持たせることができている。
今日受け入れている研修医が全員、将来在宅医療や地域医療の臨床に直接携わるとは限らない。しかしこの研修で得た経験が、従来家には帰れないと判断されていた患者にも帰る選択肢を与える医師を増やすことに繋がるのではないかと考える。