第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

一般演題(ポスター)

04-2:キャリア

一般演題(ポスター)キャリア・倫理的課題・その他

2024年7月21日(日) 10:10 〜 10:40 ポスター会場1 (コンベンションホールA)

座長:伊藤 真美(医療法人社団 花の谷クリニック)

10:15 〜 10:20

[P-2-9] サービス付き高齢者向け住宅で発生した疥癬の集団発生の経験

*酒井 秀都1、塔野 祥子1、上田 裕介1、柳楽 知義1 (1. 光輪クリニック)

〈はじめに〉今回我々は、サービス付き高齢者向け住宅において、疥癬の集団発生を経験したため、治療経過と共に考察を交えて報告する。報告にあたり、日本医学会連合研究倫理委員会「学術集会への演題応募における倫理的手続きに関する指針」の「5.1症例報告」に記載された対応をとっている。〈症例〉サービス付き高齢者向け住宅において、X年6月に入居者の複数名に皮疹が確認された。同時期に施設職員にも複数名の皮疹が確認され、他院で疥癬の診断を受けた。疥癬の集団感染を疑い他院より皮膚科専門医への往診を依頼したが、往診日までに1週間を要したため、感染拡大の可能性を危惧し施設内の状況及び入居者の皮疹の画像所見を往診日までに皮膚科医に供覧したところ、疥癬の集団発生が最も疑わしいと判断されたため、皮疹が出現していた入居者にイベルメクチンの内服を開始した。またその時点で無症状であった他の入居者にも同薬剤の予防投与を施行した。1週間後に皮膚科医同行のもとで往診を施行し、最も皮疹症状が酷い角化型疥癬が疑われた入居者2名より皮膚検体を採取し、検鏡にて疥癬の診断を得た。入居者全員にイベルメクチンの内服を2クール行い、皮疹出現者に対しては皮疹の状態によってフェノトリンローションを併用、3回目のイベルメクチンを投与した。治療開始後より新たに1名の皮疹の発生があり、全入居者43名のうち計16名に皮疹が確認された。皮疹残存者には最大4回目までイベルメクチンの内服を施行し、7月末には全入居者の皮疹の改善、消失を確認した。イベルメクチン投与後に血液検査を施行したが、肝障害など明らかな有害事象は認めなかった。発症より1年以上経過しているが、明らかな再燃なく経過している。〈考察〉疥癬が疑われた場合には、角化型と通常型の違いをよく理解した上で治療にあたり、集団発生した場合には可能な限り皮膚科医の協力を仰ぎ、迅速な投薬開始を検討する。