第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

一般演題(ポスター)

13-3:がん

一般演題(ポスター)がん1

2024年7月21日(日) 09:25 〜 10:00 ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:小森 栄作(ももたろう往診クリニック)

09:35 〜 09:40

[P-2-98] 在宅において実施した終末期がん患者に対する輸液療法についての検討

*岡田 豊1、濱井 健太1、滝内 宏樹1、井戸 茂樹1、中村 幸伸1 (1. つばさクリニック)

【目的】終末期がん患者に対する輸液療法は医療従事者、患者・家族の価値観や心情的側面に左右される。日本緩和医療学会作成の「終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン」では推定余命1か月以内のがん患者に対して標準的な輸液療法が示されている。今回当院が在宅において実施した終末期がん患者に対する輸液療法について現状をまとめたので報告する。【方法】令和5年の1年間に当院が在宅で看取った終末期がん患者を対象とした。【結果】昨年1年間に在宅で看取った終末期がん患者は69例で、男性46例、女性23例、平均年齢は78.1歳であった。終末期がん患者69例中、輸液を実施した症例は25例(36.2%)で、原疾患は肺がん7例、大腸がん4例、胃がん3例、膵がん3例、前立腺がん2例、白血病2例、胆管がん1例、悪性リンパ腫1例、膀胱がん1例、食道がん1例で、実施前のPSは平均3.5だった。投与経路は末梢9例、皮下6例、CVポート6例、PICCカテーテル4例、輸液理由は脱水補正や栄養投与が主であった。輸液期間は平均12.4日(1~46日)で、輸液内容は乳酸リンゲル液2例、1号輸液6例、高カロリー輸液4例、3号輸液3例で、亡くなる直前の1日輸液量としては、平均394mlであった。輸液実施中に出現した合併症は5例で、浮腫の増悪が3例、痰の増加が2例であった。【考察】在宅終末期がん患者に対する輸液症例を検討したが、当院では概ねガイドラインに沿って行われていた。長期間の輸液投与や高カロリー輸液を行った症例は、病院からの指示により継続したものが多く、また家族の希望で実施した事例もあった。今後より患者のQOL改善に繋がるよう、患者や家族との理解を深めながら実施していきたい。(なお本研究は当院で設置する倫理に関する諮問委員会の審査に基づき施設長の許可を得ている)