第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

ポスター

13-3:がん

一般演題(ポスター)がん1

2024年7月21日(日) 09:25 〜 10:00 ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:小森 栄作(ももたろう往診クリニック)

09:40 〜 09:45

[P-2-99] 訪問活動を通して見える在宅がん緩和ケア~医薬品提供から薬局機能を考察する~

*佐々木 健1、廣原 正宜2、串田 一樹2、山本 健2 (1. メディプレイス365訪問薬局、2. 昭和薬科大学)

【目的】在宅がん緩和ケアでは注射薬の供給、特に医療用麻薬の皮下持続注射の供給や急な退院対応などがあり全ての薬局が均一に対応できない。在宅がん緩和ケアでは一薬局で全ての対応ができる自己完結型の薬局は全国的に極めて少ないので薬局が医薬品供給を担う上で薬局の機能分化と薬局間連携の構築が急務である。今回薬局の機能分化と薬局間連携の構築に向けて当薬局の実績から考察したので報告する。
【方法】1)当薬局の2023年12月の在宅がん患者数、麻薬の処方患者数、イレギュラーな麻薬処方応需数を集計する。患者が特定されないように患者数のみを集計した。2)厚生労働省の在宅医療関連の審議会の資料より考察する。3)厚生局へ無菌製剤処理加算(薬菌)を届け出ている薬局の実態調査。本調査は昭和薬科大学の研究倫理審査の承認を得ている。
【結果】個人在宅の処方箋受付枚数が376枚/月で患者数は45人であった。そのほとんどが末期がん患者の自宅での看取りであった。輸液を必要とする患者は5人、麻薬を必要とする患者2名であった。その他施設に訪問している薬局と連絡が取れないことから当薬局に医師より「モルヒネ塩酸塩錠2.5mg処方」の依頼があったケースが1件あり。2府5県1市の「薬菌」調査では11,805薬局の内、届出は561薬局でありそのうち自己完結型薬局は84薬局であった。
【考察】在宅医療の主たる患者像は高齢者の慢性疾患である。一方、医療依存度の高いがん緩和ケアの患者、医療的ケア児の調剤では無菌調剤や医療用麻薬の備蓄などの負担が大きいことから、全ての薬局が均一に関われない。2025年から始まる地域包括ケアは市町村が基盤になるので薬局機能は自己完結型から地域完結型へシフトする必要がある。それには薬局の機能分化、薬局間連携の推進が求められる。在宅がん緩和ケアに対して実績のある薬局の情報公開が急務である。