第6回日本在宅医療連合学会大会

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一般演題(ポスター)

15-1:緩和ケア

一般演題(ポスター)緩和ケア1

Sun. Jul 21, 2024 1:40 PM - 2:15 PM ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:斉藤 康洋(GPクリニック自由が丘)

2:00 PM - 2:05 PM

[P-2-121] 終末期患者のせん妄に対してブロナンセリン貼付剤の在宅での使用経験

*福田 員茂1、白石 恵実1、菅 杏菜1、安仁屋 玲緒南1、髙野 桃子1 (1. 医療法人社団双寿 ちぐさ会クリニック)

【はじめに】終末期せん妄は、終末期がん患者の30~40%に合併する誰もが経験する精神症状でありその中でも過活動型せん妄はしばしば在宅療養阻害因子となる。
【目的】せん妄に対してこれまで向精神病薬やベンゾジアゼピン系薬剤の内服薬、注射剤、坐剤が使用されてきたが、内服不能になった場合、剤型の観点から使用できる薬剤は非常に限られる。当院では2019年に発売されたブロナンセリン貼付剤を2021年から採用しており本薬剤とせん妄制御について効果について考察した。
【方法】2021年12月1日~2023年11月末までを期間とし、筆者担当患者186名の検討を行う。せん妄患者33症例のうち「末期がん」+「せん妄」患者17例、うちブロナンセリン貼付剤使用15例。
【結果】せん妄制御可能は7例(うち20mg:6例、40mg:1例)。制御困難:効果なし:5例(うち不眠の存在5例)、効果判定困難:3例(判定前の入院または死亡)であった。
【考察】ブロナンセリン貼付剤は在宅患者における終末期せん妄の制御について剤型として有用であった。貼付剤の利点として以下の点が挙げられる。1.誤嚥の心配がない2.使用開始のタイミングを家族に委ねることができる。また利点とは別に以下の点を考察した。3.薬効発現まで1.5時間を要する。4.明らかな過鎮静、呼吸・循環抑制は見られなかった。5.強い不眠の存在に対してほぼ無効であった。在宅療養継続の阻害因子としては①疼痛、②嘔気、③呼吸苦、④倦怠感・食思不振、⑤せん妄が挙げられ、それぞれについて在宅で使用できる薬剤は拡充されているが、在宅環境では家族が症状に対応できるかが重要である。ブロナンセリンはD2および5HT2A受容体に対する遮断効果が強いのに対しH1受容体への遮断作用が弱いことが不眠に無効であると考える。代表的な副作用であるアカシジアは見られなかった。