一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

R1:鉱物記載・分析評価(宝石学会(日本) との共通 セッション)

2021年9月17日(金) 14:00 〜 16:45 Zoom Session 2

座長:黒澤 正紀(筑波大学)、門馬 綱一(国立科学博物館)、坂野 靖行(産総研)

16:00 〜 16:15

[R1-08] 福岡県飯塚市八木山産の円筒状アメサイト

一色 優希2、武田 侑也2、*上原 誠一郎1、延寿 里美 3 (1. 九州大・博物館、2. 九州大・院理、3. 愛媛大・理工)

キーワード:円筒状アメサイト、Al-蛇紋石、新しい構造、八木山、蛇紋石鉱物

蛇紋石は理想式Mg3Si2O5(OH)4で,少量のFeやAlを含む。蛇紋石と固溶体関係にある鉱物としてアメサイト(理想式(Mg2Al)(SiAl)O5(OH)4)がある。Mg端成分組成の蛇紋石は円筒状のクリソタイル,板状で波状の超構造を持つアンチゴライト,板状のリザーダイトに分類される。アメサイトは一般に粗粒の板状結晶として産する。今回,Al-蛇紋石とアメサイトの微細組織観察及び化学組成の検討を行い,ナノスケールの化学組成不均質および新しい蛇紋石鉱物の微細構造を見いだした。

ロジン岩を切る蛇紋石あるいはAl-蛇紋石からなる細脈に沿ってロジン岩の構成鉱物の変質部があり,Al-蛇紋石,アメサイトなどを生じている。試料Rod3では薄茶色透明のアメサイト中に白色不透明のAl-蛇紋石を産する。この白色不透明部は非常に小さな結晶で(約50-300 nm),円筒状,板状,繊維状,不定形の粒子からなる。この中で円筒状の粒子は内直径 80-250 nm,外直径 120-350 nm,長さ(最長) 2 µmで, Al陽イオン数1.3 (O=7) のアメサイト組成である。また,内部に板状結晶を伴うことが多い。