一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

R8:変成岩とテクトニクス

2021年9月17日(金) 14:00 〜 16:45 Zoom Session 1

座長:中村 佳博(産総研)、遠藤 俊祐(島根大学)

14:45 〜 15:00

[R8-10] 東南極セール・ロンダーネ山地メーニパに産する泥質片岩中の灰礬柘榴石,チタン石および燐灰石ウラン–鉛年代

*仁木 創太1、河上 哲生2、足立 達朗3、宇野 正起4、東野 文子2、平田 岳史1 (1. 東京大・院理、2. 京都大・院理、3. 九州大、4. 東北大)

キーワード:柘榴石、ウラン–鉛年代測定法、レーザーアブレーションICP質量分析法、チタン石、燐灰石

近年のレーザーアブレーションICP質量分析法(LA-ICP-MS)の改良に伴い,多種類の鉱物に対する正確かつ高精度な局所ウラン–鉛(U–Pb)年代測定が可能となった.本研究では東南極セール・ロンダーネ山地(SRM)メーニパに産する泥質片岩に着目し,柘榴石、チタン石、燐灰石に対するLA-ICP-MSを用いた局所U–Pb年代測定を試みた.泥質片岩中には主要構成鉱物として含V柘榴石が産し, その産状からType 1-3に分類される.Type 1は粗粒な緑色柘榴石であり,柘榴石のU–Pb年代は612.2±7.7 Maであった.Type 1の外縁部にはケリファイト組織を示すType 2の細粒結晶が存在し,同組織中のチタン石のU–Pb年代は527±11 Maであった.更にケリファイト組織外縁部には燐灰石が産し,燐灰石のU–Pb年代は496.0±8.6 Maであった.これらの年代値から本研究試料中には1つの柘榴石分解組織中にSRMにおける1億年の歴史が記録されていたと言える(柘榴石:累進変成作用の時期;燐灰石:冷却年代;チタン石:Type 1柘榴石が分解・再結晶した時期もしくは冷却年代).