一般社団法人日本鉱物科学会2024年年会・総会

講演情報

口頭講演

R2:結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物

2024年9月14日(土) 09:00 〜 12:00 ES024 (東山キャンパス)

座長:則竹 史哉、永嶌 真理子、徳田 誠(熊本大学)

09:35 〜 09:50

[R2-03] Alを含むorthoenstatiteにおける水の溶解機構:NMR測定と第一原理計算による解明

*薛 献宇1、神崎 正美1、Yin Rongzhang 2 (1. 岡山大学、2. 北京大学)

キーワード:直方輝石、水、アルミニウム、核磁気共鳴、第一原理計算

Alを含むorthoenstatiteにおける水の溶解機構について、1.5 GPa and 900˚Cで合成した4 〜8 wt% Al2O3 を含む、含水aluminous orthoenstatiteにおける1次元および2次元 1H、 29Si 、 27Al NMR測定、および第一原理計算により、明らかにした。従来仮定されていたH+Al によるSiまたは2Mgのcoupled substitutionよりも、Al近傍のM2欠陥に存在する(2H)M2欠陥の方が重要であることが判明した。後者はAlとの相互作用により、2Hのうちの一つのプロトンは、水素結合距離が長くなり、1H化学シフトが小さくなり、OH伸縮振動周波数が大きくなることがわかった(図参照)。他のAlを含むマントル鉱物においても、H+Al によるSiまたは2Mgのcoupled substitutionがよく仮定されるが、検証する必要はあるであろう。なお、本第一原理計算により、これまで報告された、よりAl2O3含有量の少ないorthoenstatiteや、天然輝石の赤外スペクトルの解釈にも制約を与えることができた。
R2-03