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[R2-03] Alを含むorthoenstatiteにおける水の溶解機構:NMR測定と第一原理計算による解明
キーワード:直方輝石、水、アルミニウム、核磁気共鳴、第一原理計算
Alを含むorthoenstatiteにおける水の溶解機構について、1.5 GPa and 900˚Cで合成した4 〜8 wt% Al2O3 を含む、含水aluminous orthoenstatiteにおける1次元および2次元 1H、 29Si 、 27Al NMR測定、および第一原理計算により、明らかにした。従来仮定されていたH+Al によるSiまたは2Mgのcoupled substitutionよりも、Al近傍のM2欠陥に存在する(2H)M2欠陥の方が重要であることが判明した。後者はAlとの相互作用により、2Hのうちの一つのプロトンは、水素結合距離が長くなり、1H化学シフトが小さくなり、OH伸縮振動周波数が大きくなることがわかった(図参照)。他のAlを含むマントル鉱物においても、H+Al によるSiまたは2Mgのcoupled substitutionがよく仮定されるが、検証する必要はあるであろう。なお、本第一原理計算により、これまで報告された、よりAl2O3含有量の少ないorthoenstatiteや、天然輝石の赤外スペクトルの解釈にも制約を与えることができた。