09:50 〜 10:00
[O3-E-AM2-02] Leptin receptor陽性細胞のLRP1欠損が骨形成に及ぼす影響
キーワード:leptin receptor、LRP1、bone formation
【目的】骨髄や歯周組織にみられるleptin receptor(Lepr)陽性細胞は、間葉系幹細胞の特徴をもち組織損傷の治癒に関わっている。すでにLepr陽性細胞が骨芽細胞に分化して、骨欠損や抜歯窩を修復することは報告されているが、この分化を制御する因子は未だに明らかにされてはいない。最近になり、骨芽細胞に発現するlow-density lipoprotein receptor-related protein 1(LRP1)がRANKLの発現を低下させ、破骨細胞の分化を抑制するなど、LRP1と細胞分化の関連が示されている。本研究では、Lepr陽性細胞にLRP1を特異的欠損させた遺伝子改変マウスを使用し、LRP1が骨形成に及ぼす影響を検討した。 【方法・結果】Lepr-creマウスとLRP1 floxマウスを交配して、Lepr陽性細胞からLRP1遺伝子を欠損させたマウス(cKO)を得た。cKOマウスをマイクロCTで撮影した結果、野生型(WT)マウスと比べて頭頂骨の菲薄化や大腿骨遠位端の海綿骨量が減少した。同時に、マウスにカルセインを投与して骨石灰化速度を評価すると、cKOマウスはWTマウスよりも低い値を示した。また、頭蓋骨由来骨芽細胞から分離したLepr陽性細胞のBMP2とosteoprotegerin(OPG)の遺伝子発現を調べると、WTに比べてcKOの発現レベルが低く、LRP1欠損がBMP2とOPGの発現を抑制していることが示された。さらに、cKO由来骨芽細胞を石灰化誘導培地で培養すると石灰化基質の形成阻害と、BMP2添加によるALP、osteorix、Runx2などの骨芽細胞関連因子の発現抑制が認められた。 【結論】Lepr陽性細胞のLRP1を欠損させることによって、骨芽細胞分化と石灰化誘導の抑制が認められたことから、LRP1は骨形成に対して促進的に作用することが示唆された。