第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P1-3-03] エナメル芽細胞極性化におけるp130Casの機能解析

〇川原 純平1、吉崎 恵悟1、湯田 智美1、井上  茜1、宮崎 佳奈子1、田 甜2、自見  英治郎3、高橋 一郎1 (1. 九大 院歯 矯正、2. 九大 院歯 小児口腔、3. 九大 院歯 口腔細胞工学)

キーワード:p130Cas、細胞極性、エナメル芽細胞

p130 Crk-associated substrate (Cas) は、 Focal adhesion に局在する細胞内タンパク質であり、細胞接着、遊走および増殖に関与するなど、様々な細胞機能において重要な役割を担っている。上皮特異的 p130Cas 欠損マウスにおいて、エナメル芽細胞の極性化異常を伴うエナメル質形成不全症を発症することから、 p130Casが細胞極性に影響を及ぼす可能性が考えられるが、その詳細な分子メカニズムは不明である。そこで、p130Cas のエナメル芽細胞における分子機能解析を目的として研究を行った。歯原性上皮幹細胞株M3H1を用いて、CRISPR/Cas9を応用し、p130Cas 遺伝子の exon2 を欠失させることで p130Cas 遺伝子欠損細胞株を作製した。本細胞株を用いて、western blotting 法および免疫染色法により、p130Cas タンパクの消失を確認した。次に、Tight junctionのマーカーであり、極性を持つ上皮細胞の頂端側に局在することから細胞の極性マーカーとしても知られている Zo-1 を免疫染色法にて可視化し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて三次元的な細胞形態の評価を行った。コントロール細胞において、細胞は単層に配列し、Zo-1は、その頂端側に一列に局在していた。これに対し、p130Cas遺伝子欠損細胞株では、細胞の多層化と Zo-1の細胞内局在の乱れを認めた。以上の結果から、p130Casは歯原性上皮細胞の細胞極性に関与し、上皮細胞の配列に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。