第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P1-3-15] 骨リモデリング微小環境再現による骨芽細胞による破骨細胞アポトーシス小体の取り込みと骨形成への影響

〇辻 直紀1 (1. 東大病 ティッシュエンジニアリング)

キーワード:骨リモデリング、アポトーシス、イメージング

骨リモデリングは、同一部位で数週間から数カ月に及ぶ長期間の連続的な現象のため、従来の組織切片を用いた解析や近年のin vivoイメージングでは、一時点での観測しか行えず、細胞間相互作用の全容を長期間解析することは困難である。 当研究室では、in vitroで骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞と骨基質の同一部位での吸収と形成を長期観察可能な骨モデリング・リモデリング再現系を確立したことを報告してきた。本研究では、骨リモデリング再現系を用いて骨吸収後に生じる破骨細胞のアポトーシスが骨リモデリング微小環境に存在する骨芽細胞に与える影響を解析した。 CAG-EGFPマウス由来初代骨芽細胞を単離し、骨形成培地で長期間培養し、生体内での海綿骨と類似した構造を持つbone noduleを形成させた。その後、Cathepsin k cre×R26;tdTomatoマウス由来骨髄マクロファージと共培養し、骨吸収培地で2週間培養後、骨形成培地で3週間培養し、共培養期間である5週間に渡って同一のbone noduleを二光子顕微鏡で長期観察した。二光子顕微鏡の第二次高調波発生により骨基質の主成分であるコラーゲン線維を無染色で観察した。 破骨細胞により生じた骨吸収窩は骨芽細胞により産生された基質で再充填され、骨吸収窩領域の骨吸収量と骨形成量は強い相関を認めた。破骨細胞は、骨吸収期から骨形成期にかけてアポトーシスにより減少し、骨吸収窩内の骨芽細胞は破骨細胞由来のtdTomato陽性顆粒を含有していた。破骨細胞のアポトーシス小体を調製し、長期分化誘導した骨芽細胞に添加しRT-qPCRを実施したところ、骨分化マーカーであるRunx2およびALPの上昇を認めた。 骨芽細胞による破骨細胞アポトーシス小体の取り込みは、骨リモデリング微小環境下での骨形成に寄与する可能性が示唆された。