第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P1-3-26] マウスの口腔顔面領域に対する温度刺激時の大脳皮質応答

〇大熊 理沙子1,2,3、小林 理美3、藤田 智史3、小林 真之2 (1. 日大 歯 矯正、2. 日大 歯 薬理、3. 日大 歯 生物)

キーワード:温度刺激、フラビン蛍光、光学計測法

【目的】口腔顔面領域における触覚や痛覚の大脳皮質における情報処理については多くの研究がなされ、解明が進んでいる。一方で、口腔顔面領域における温度感覚情報処理については不明な点が多く、その一因として、触圧覚刺激せず純粋な温度刺激を行うのが難しいことがあげられる。本研究では口腔顔面領域にペルチェ素子を利用した装置によって、温度以外の物理的な刺激を排除した刺激を行い、フラビン蛍光による光学計測法を用いて温度受容時の大脳皮質の応答を記録した。
【方法】ウレタンによる全身麻酔をマウスに行い、左側の島皮質、一次体性感覚野、二次体性感覚野の一部を含む領域を開窓した。ペルチェ素子による冷刺激、温刺激を右側頬部と舌に刺激プローブ先端にある金属板(3.0 mm×3.0 mm)を介して行い、フラビン蛍光の輝度変化をCMOSカメラにて記録した。温度刺激は冷刺激では32℃から3秒間で15℃、温刺激では32℃から3秒間で46℃に変化させ、40回の記録を平均加算した。
【結果・考察】右頬側部に対する冷刺激、温刺激では、一次体性感覚野および二次体性感覚野の腹側から島皮質の背側にかけて比較的広い範囲でフラビン蛍光の輝度変化が認められた。冷刺激、温刺激を比較すると、応答中心が異なるといった明らかな応答部位の違いは認められなかった。舌に対する刺激では、右頬側部の時と同様に一次体性感覚野および二次体性感覚野の腹側から島皮質の背側あたりにかけてフラビン蛍光の輝度変化が認められた。舌においては、冷刺激と比較して温刺激では二次体性感覚野から島皮質において、蛍光輝度変化率が高い傾向が認められた。したがって、温度感覚情報の処理には、一次体性感覚野と二次体性感覚野腹側部から島皮質背側部が関わることが示唆された。