第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P1-3-37] 骨量の減少に及ぼすミダゾラムの改善効果について

〇針ケ谷 紘子1,2、唐木田 丈夫2、山本 竜司2、大熊 理紗子2、河原 博1、山越 康雄2 (1. 鶴大 歯 麻酔、2. 鶴大 歯 生化学)

キーワード:ミダゾラム、骨吸収、破骨細胞

ミダゾラム(MDZ)は静脈内鎮静法の鎮静薬として広く用いられているベンゾジアゼピン系の麻酔薬である。我々はこれまでにMDZが骨形成を促進することを確認したが、骨吸収に対しての効果については不明である。【目的】本研究では、破骨細胞分化および骨吸収能活性に及ぼすMDZの影響を調べることを目的とした。【材料および方法】細胞実験では、破骨細胞前駆細胞であるマウス由来マクロファージ様細胞(RAW264細胞)にRANKLとMDZを添加、培養3日後に破骨細胞の分化マーカーである酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRAP)活性の測定を行った。また、同じ条件下でRAW264細胞をリン酸カルシウムコーティングした培養プレートで4日間培養し、骨吸収能を検討した。動物実験ではICRマウスの頭頂部にリポ多糖(LPS)とMDZを投与し、LPSにより誘発される炎症性骨破壊に対するMDZの影響を評価した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を投与する群(コントロール群)、LPSを投与する群(LPS群)、及びLPSとMDZを併用する群(LPS+MDZ群)に分け、MDZのみ2日毎に投与し、合計4回投与を行った。投与開始7日目に頭蓋骨を摘出し、マイクロCTで連続的に撮影を行い、三次元構築した画像から骨吸収の割合および頭蓋骨の体積を算出した。【結果】RAW264細胞を用いた培養実験では、MDZは濃度依存的に破骨細胞分化と骨吸収能活性を抑制した。動物実験では、LPS群に比べてLPS+MDZ群で骨吸収の割合が減少傾向を示した。さらに頭蓋骨の体積を比較した場合においても、 LPS+MDZ群で、若干ではあるがLPS群に比べて増加傾向を示した。【考察】本研究の結果から、MDZは破骨細胞分化と骨吸収能を抑制することが明らかとなり、骨量の減少に抑制的に働くことが示唆された。