第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P1-3-38] Rab44は、筋衛星細胞におけるmTORC1シグナル伝達と融合制御因子の輸送の調節により、筋再生を負に制御する

〇親川 駿1、山口 優1、門脇 知子2、坂井 詠子1、野黒美 麻由子1,2、谷本 あゆ子1、筑波 隆幸1 (1. 長大 院医歯薬 歯科薬理、2. 長大 院医歯薬 フロンティア口腔科学)

キーワード:Rab44、骨格筋、筋衛星細胞

骨格筋は多様な運動活動を担い、強靭な再生能力をもつ組織であり、筋特異的な幹細胞、筋衛星細胞は筋再生に関与する細胞である。私達の先行研究では、マウス筋芽細胞株C2C12の分化誘導を行うと、Rab44の発現レベルが上昇し、筋芽細胞から筋管細胞への分化を負に制御することを見出した。しかし、筋形成過程における分子機構の解明にはまだ不明な点も多く残されている。そこで本研究では、Rab44ノックアウト(KO)マウスと野生型(WT)マウスを比較して、骨格筋の形成過程におけるRab44の機能を解析した。KOマウスとWTマウスの比較は、骨格筋組織票本での解析や実験的筋再生誘導モデルでの解析、筋衛星細胞の初代培養細胞でのin vitro解析実験を行った。KOマウスはWTマウスと同程度の体重と筋重量であったが、筋組織像解析より、KOマウスの筋線維断面積(CSA)がWTマウスのそれよりも有意に小さかった。また、カルディオトキシンを用いた筋再生モデルを用いた実験では、KOマウスのCSAはWTマウスのCSAよりも有意に大きく、筋再生がRab44欠損により促進されることを示した。In vitro実験でも、KOマウス由来の筋衛星細胞が増殖と分化が促進することが示唆され、in vivoと同様の結果を示した。また、in vitroの結果より、KOマウス由来筋衛星細胞はWTマウス由来細胞と比較して、ラパマイシン複合体1(mTORC1)シグナルが増加を示した。さらに筋芽細胞融合に必須の膜タンパク質であるmyomakerとmyomixerの細胞表輸送の増強が、KOマウス由来細胞で確認された。以上のことから、Rab44は、mTORC1シグナル伝達経路と筋芽細胞融合制御因子の輸送を調節することにより、筋再生を負に制御すると考えられる。 会員外共同研究者:長大 院医歯薬 歯科補綴学分野 村田比呂司