第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P2-3-03] KLF5遺伝子のサイレンサー領域とCREB結合サイトの解析

〇勝海 怜一1、美原 希美1、根岸 翼1、今井 一志1 (1. 日歯大 生命歯 生化)

キーワード:KLF5、CREB、HSC-2

Krüppel-like factor 5(KLF5)は上皮細胞の分化抑制に重要な転写因子であり、上皮性悪性腫瘍で過剰に発現する。口腔癌細胞にKLF5を過剰発現させると細胞の分化形質が阻害されることから、KLF5は癌細胞を脱分化させ癌進行に大きく関わると考えられるが、その発現制御機構には不明な点が多い。これまでにKLF5遺伝子の転写開始点下流には基本的発現に必要な最小領域(minimal essential region、MER)が存在することが明らかになっている。また、MER上流にはサイレンサーと考えられる領域(425 bps領域)が存在し、そこには複数のCREB結合サイトがあることがわかっている。本研究では、KLF5遺伝子発現における425 bps領域と、そこに存在するCREB結合サイトの機能を明らかにすることを目的とする。
 425 bps領域の転写活性能をレポーターアッセイで解析した結果、425 bps領域には活性がなく、MERの活性を抑制した。また、425 bps領域内の各CREB結合サイトを欠失させ同様に解析したところ、CREB結合サイトを欠失させたことでMERの活性が有意に増加した。
 425 bps領域へのCREBの結合をDNAプルダウンアッセイで解析した結果、CREBの結合が確認された。また、425 bps領域内の各CREB結合サイトを欠失させたプローブで同様に解析したところ、425 bps領域内の最も遠位のCREB結合サイトを欠失させたプローブでCREBの結合が減少した。
 以上の結果から、425 bps領域はKLF5遺伝子のMER活性を抑制し、その中のCREB結合サイトがその発現抑制に関係すると考えられる。また、425 bps領域内にはCREBが結合し、最も遠位なCREB結合サイトがCREBに寄与することが示唆された。