第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P2-3-06] 頭頸部骨化の鍵となる膜性骨が関与する「Enthesis」の組織構築機序の解明

〇北村 旭1、山本 将仁2、阿部 伸一2 (1. 東歯大 パーシャル補綴、2. 東歯大 解剖)

キーワード:解剖、顎関節、Enthesis

目的:腱-骨接合部である Enthesis は,骨格筋の収縮力を腱を介して骨へ伝達する重要な部位である。これまでEnthesisの発生は,2種類の骨形成過程(軟骨内骨化,膜性骨化)に沿って区別するべきであると考えれてきた。近年,軟骨型Enthesis(C-Enthesis)の発生機序が,遺伝子改変マウスを用いた実験から次々と明らかにされてきた。中でも,軟骨形成に必須なSRY-Box Transcription Factor 9(Sox9)は,C-Enthesisの形態形成にも寄与するといわれている。しかしながら,膜性骨型Enthesis(M-Enthesis)発生過程においてSox9がどのように関与するのかは不明である。そこで我々は,M-EnthesisにおけるSox9の役割について検索をおこなった。
方法:試料として胎生(E)13.5~17.5日の C57BL6J マウスを用いた。通法に従いパラフィン包埋を行い,連続組織切片を作製し,組織学的に比較・検討した。
結果および考察:E15.5日になると膜性骨が下顎頭の前縁に出現し,外側翼突筋の腱と接するようになった。続いてタンパクレベルならびにRNAレベルにて組織学的に解析した。E14.5日のM-Enthesisでは ScleraxisとSox9が共発現していた。しかしながらE16.5日のM-Enthesisでは,Scleraxisは発現しているものの,Sox9は消失していた。一方C-Enthesisでは,E13.5~16.5において常にScleraxisとSox9は発現していた。したがって,M-EnthesisとC-Enthesisを比較するとSox9の発現様相が異なることが判明し,膜性骨が出現したE15.5の直後に,Enthesis部は膜性骨型の表現型が顕著になることが示唆された。(COI:なし)