第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P2-3-23] カフェイン酸フェネチルエステル(CAPE)による、抗CD3抗体刺激マウス脾細胞におけるIL-2産生の促進を介したIL-4およびIL-10の活性化

〇髙橋 萌1、神谷 真子2、池野 久美子3、上野 恭平4、梅村 直樹4、髙山 英次4、川木 晴美4、中村 源次郎3、村松 泰徳5、近藤 信夫6 (1. 朝日大 歯 口外 朝日大学病院、2. 朝日大 営 化学、3. 秋田屋本店 研究開発、4. 朝日大 歯 口腔生化、5. 朝日大 歯 口外 朝日大医歯セ、6. 朝日大 歯 化学)

キーワード:CAPE(caffeic acid phenethyl ester)、IL-2,IL-4,IL-10、抗CD3抗体

我々は既に中国産プロポリス(CP)が抗CD3抗体刺激マウス脾細胞のIL-2産生を顕著に促進する一方で、炎症性サイトカインであるIFN-γや、IL-6およびIL-17を顕著に抑制するが、低い濃度域のCPは抑制性サイトカインであるIL-4およびIL-10に対してむしろ促進的に作用することを見出した。このCPの機能は、その主要成分の1つであるCaffeic acid phenethyl ester (CAPE)が単独で引き起こしていることが示唆された(Ando M, et al, 投稿中)。刺激脾細胞に対するCAPEの作用を詳細に検討するため、CAPE存在下,非存在下における刺激脾細胞のIFN-γ、IL-2, IL-4およびIL-10産生を経時的に観察した。その結果、コントロールの刺激脾細胞では刺激培養開始後より速やかにIFN-γ産生が上昇したのに対してCAPE存在下ではその産生は顕著に抑制されていた。一方、CAPE非存在下での刺激脾細胞のIL-2産生は36時間でピークとなったが、CAPE存在下では36時間以降も顕著に上昇し、72時間後にコントロールを優位に凌ぐピークに達した。さらに、IL-4およびIL-10産生は、CAPE存在下で72時間後より顕著に上昇し96時間後でも高い値を維持していた。そこで、抗IL-2中和抗体による機能阻害実験を試みたところ、CAPE存在下で有意に促進されたIL-4およびIL-10産生が、抗IL-2抗体共存下で顕著に阻害されることが示された。CAPEは刺激脾細胞において炎症性サイトカインのIFN-γ発現を阻害する一方で、IL-2の機能を介して、抑制性サイトカインであるIL-4およびIL-10の産生を促進することが示された。