第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P2-3-27] 歯周病の病態形成を制御する腸内細菌の役割の解明

〇中上 昌信1,2、永尾 潤一1,3、岸川 咲吏1,3、豊永 憲司1,3、加地 英美1、岩沼 青葉1、吉永 泰周2,3、坂上 竜資2、田中 芳彦1,3 (1. 福歯大 機能生物 感染生物、2. 福歯大 口腔治療 歯周、3. 福歯大 口腔医学セ)

キーワード:微生物、獲得免疫、細菌

歯周病は歯科の2大疾患の1つである。高齢化が急速に進む我が国において、歯周病の患者数は増加しており、社会的関心は高い。歯周病は口腔内に常在する歯周病原細菌が関与することが知られている。近年の報告で、歯周組織の炎症や歯槽骨の吸収を促進する歯周病の病因は、宿主免疫応答、特にサイトカインIL-17Aを産生するTh17細胞が重要な役割を果たすことが明らかになってきている。我々のグループは最近、歯周病の病態形成には、腸管粘膜免疫系を介したTh17細胞による全身性の免疫応答が関与することを報告している。さらに、歯周病の病態形成と全身性のTh17細胞応答は腸内細菌叢により制御されていることを明らかにしている。しかしながら、歯周病の病態形成に及ぼす腸内細菌の役割は未だよく分かっていない。腸内細菌は腸管において様々な代謝産物を産生することで、宿主の免疫応答に対して様々な影響を及ぼすことが報告されている。我々は、腸内細菌が代謝産物を産生することで、歯周病の病態に関与するTh17細胞の分化を制御しているのではないかと仮説を立てた。本研究では、腸内細菌とその代謝産物に着目し、Th17細胞の分化、および歯周病の病態形成への影響を解析することを目的とする。現在、糞便中の腸内細菌叢、および代謝産物を解析する系を構築している。本発表では、我々の取り組みについて進捗を報告する。