第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月18日(月) 08:30 〜 15:50 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P3-2-27] Fusobacterium nucleatumがFap2を介してAggregatibacter actinomycetemcomitansと共凝集する機構の解析

〇田中 友三佳1,2、大貝 悠一2、松本 愛理2、中田 匡宣2 (1. 鹿大 院医歯 歯周病、2. 鹿大 院医歯 口腔微生物)

キーワード:Fusobacterium nucleatum、Fap2、共凝集

【目的】歯周病原細菌の1つである Fusobacterium nucleatum (Fn) は数多の付着因子を菌体表層に有し,他菌種や宿主因子と相互作用する.本研究では,Fnのガラクトース結合性表層タンパク質であるFap2に着目し, Aggregatibacter actinomycetemcomitans (Aa) とFnの結合 (共凝集) に関与するかについて検討した. 【方法】嫌気培養で生育させた Fn ATCC23726株と複数種の血清型 (a, b, c, d, g) のAa株を使用した.FnとAaの各菌株を緩衝液で混和し, 凝集塊沈殿後の上清濁度の測定により共凝集を評価した.また,Aa LPSのO抗原多糖を構成する各種糖,およびAaから粗精製したLPSを共凝集試験の系に添加し,共凝集が抑制されるかについて評価した.さらに,Fnのfap2欠損株およびFap2部分組換えタンパク質を用いて,同様に共凝集抑制試験を行った. 【結果】血清型b型およびd型のAa株は,他の血清型の菌株と比較して,Fnと顕著に共凝集を呈した.Fnと血清型b型のAa株の共凝集は,ガラクトース,血清型 b 型株から抽出した LPS,もしくは Fap2部分組換えタンパク質の添加により抑制された.fap2を欠損させたFn菌株を供試した場合,共凝集は認められなかった.Fnと血清型d型の共凝集は,いずれの条件においても認められた. 【結論・考察】Fap2を介するFnとAaの共凝集はAaの血清型に依存することが明らかになった.血清型b型の Aa株はO抗原中にD-GalNacを有するため,Fap2を介してFnと共凝集すると推察された.一方,血清型d型のAa株は,Fap2とは異なる因子と相互作用することが示唆された.
【利益相反】利益相反状態にありません.