第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月18日(月) 08:30 〜 15:50 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P3-3-28] 新規クロモン誘導体のヒト口腔扁平上皮癌細胞傷害効果を増強させる因子の探索

〇坂上 宏1、田沼 靖一1、天野 滋1、魚田 慎1、猪俣 恵2、大高 祐聖3、井澤 真希3、鬼頭 慎司3、横瀬 敏志4 (1. 明海大 歯 歯科医学総合研、2. 明海大 歯 微生物、3. 明海大 歯 放射線、4. 明海大 歯 保存治療)

キーワード:新規クロモン誘導体、腫瘍選択性、増強因子

我々は、ヒト口腔扁平上皮癌細胞を選択的に傷害し、かつ正常細胞に対する傷害性の低い新規抗癌剤の創製を行っている。計346 種の天然及び合成化合物を網羅的に検討した結果、フラボノイドやタンニンなどのポリフェノール、クルクミン、ビタミン C、サポニン、テルペン、アズレン、トロポロン、 α,β-不飽和ケトン類の腫瘍選択性は低いこと、これに対して、フラボノイドに含まれるクロモン骨格の 3位にスチリル基を導入した誘導体は、高い腫瘍選択性を示した。クロモン誘導体 17シリーズ約300 種のクロモン誘導体の中で、7-methoxy-3-[(1E)-2-phenylethenyl]-4H-1-benzopyran-4-one(化合物A)と 3-[(1E)-2-(4-hydroxyphenyl)ethenyl]-7-methoxy-4H-1- benzopyran-4-one(化合物 B)が、抗がん剤のDOX, 5-FU, cisplatinに匹敵する腫瘍選択性を示し、ケラチノサイトや神経細胞に対する毒性が軽微であった。ドキタキセルは、化合物A/BよりもOSCC傷害性は強いが、ケラチノサイトの増殖を強く抑制した。構造活性相関に基づくin silico解析により、化合物A/BのOSCC傷害効果は、エストロゲン受容体を介するシグナル伝達経路の阻害による可能性が示唆された。OSCCは、マイルドハイパーサーミア(41℃)やUVC照射に対して高い感受性を示した。化合物A/Bを凌ぐ新規クロモン誘導体の創製を継続しつつ、新規クロモン誘導体のOSCC傷害効果を増強させる因子(細胞傷害性物質、金属、酸化還元剤、放射線等のメカニカルストレス、ストレス応答受容体発現など)の解析を開始する予定である。